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エヌビディアCEO 「自動運転は“ターボチャージ”された!」 [GTC2018 基調講演]

  • 撮影 佐藤耕一
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エヌビディアが年に一度、同車の新製品や取り組みをプレゼンテーションするGTC Japan 2018が9月13日、都内で開催された。GTC=GPU Technology Conferenceは、1年をかけて世界中をキャラバンしているイベントで、創業者兼CEOのジェンスン・フアン氏が自ら基調講演に登壇し、ショーマンシップあふれるプレゼンテーションを披露することで知られている。

ご存知のとおりエヌビディアは、自動運転には欠かせない画像解析技術において世界をリードする立場にあり、トヨタをはじめ世界中の自動車メーカーが同社と提携し、あるいは同社の技術を利用して自動運転技術の開発を進めている。そのため、フアン氏が基調講演で何を発言するのか、世界中から注目されているのだ。

今年の基調講演は、3つのテーマ(コンピューターグラフィックス、ハイパフォーマンスコンピューティング、自律動作マシン・ロボティクス)に沿ってプレゼンテーションされたが、本稿では特に、自動運転に関して紹介された部分を取り上げたいと思う。

自動運転用の新世代プロセッサ Xavier

フアンCEOはまず、『Xavier(エグゼヴィア)』の紹介から始めた。エグゼヴィアは、自律動作ロボット(自動運転車を含む)向けのプロセッサで、2018年1月のCESでも紹介されたものだ。わずか30Wの消費電力で毎秒100兆回以上のオペレーションを行う。

エグゼヴィアの性能について、フアンCEOは「自動運転にミスは許されない。そのため我々は、様々なアルゴリズムをあらゆる方法でチェックするための冗長性と多様性を担保したコンピューティングパワーを持たなければいけない。近い将来、コンピューティングパワーが安全性に直接反映されることになる。なぜなら安全性は冗長性と多様性によるものだからだ」と強調した。

同時に、このエグゼヴィアを搭載し、AIが組み込まれたハイパフォーマンスコンピューター『NVIDIA AGX』シリーズが紹介された。乗用車、トラック、タクシー、配達ロボットなどの自律動作に向けた製品群だ。

ついにDRIVE AGX XAVIER 開発者キット発売

続いて発表されたのが、DRIVE AGX XAVIER 開発者キットだ。自動運転車を開発するための車載用コンピューターで、車両・電源・カメラ・センサーなどと接続するためのハーネスが含まれている。

このコンピューター上では、NVIDIA DRIVE Software 1.0を実行することができる。データ収集、障害物および経路の認識、ドライバ監視など、自動運転に必要な機能が組み込まれたものだ。さらに、センサアブストラクションレイヤ用のDriveWorksモジュールと、自動運転車の開発を合理化するコンピュータビジョンおよび画像処理ライブラリが含まれている。

さらにOTA(On The Air アップデート)がサポートされており、独自のアプリケーションを無線でアップデートすることができる。

フアンCEOは、「このキットを用意するのに数年かかったが、ついに自動運転車の開発は“ターボチャージ”されることになった。いますぐ注文できます。デリバリーは10月1日から」と紹介し、会場の拍手を受けた。

国内企業とエヌビディア

フアンCEOは、日本国内の各企業との提携について紹介した。NVIDIA AGX Xavierを採用した車両が2020年に公道デビューする予定のトヨタや、トラックの運転支援のためにDRIVE AGXを採用すると発表したいすゞなどだ。

そのほか、公道でロボットタクシーの実証実験を行ったZMPや、自動宅配バンを開発しているティアIVについても言及した。

自動運転はEVの必須機能

基調講演のあと、プレスブリーフィングに出席したフアンCEOは、自動運転車両の普及時期について、EVの普及と関連して市場が拡大するだろうとの自説を述べた。

「今後登場するすべてのEVは、自動運転機能がマストになる。これからEVを買おうという人が、自動運転機能のないEVに納得できるとは思えない。事実、すでに発売されている多くのEVは、自動運転機能を持っている」

「今後3~4年のあいだに、トラックにも自動運転機能が普及していくだろう。必ずしもドライバーレスである必要はなく、運転を支援する機能として広がっていくと考える」