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【BMW 3シリーズ 新型試乗】BMWの「ハンズオフ」が日産プロパイロット2.0と大きく違うのは…岩貞るみこ
◆BMWのハンズオフは「渋滞時」の疲労軽減に
『スカイライン』に搭載されたハンズオフ機能「プロパイロット2.0」に注目が集まるけれど、ハンズオフを日本市場に先に導入したのは、BMWである。その名も「高速道路渋滞時ハンズ・オフ機能付き渋滞支援システム」。そのまんまな名称はわかりやすいけれど長い。
プロパイロット2.0が高速道路を制限速度で走行中、つまり、80km/hとか100km/hで手放しできるのに対し、こちらはあくまでも渋滞時。コンセプトは、渋滞時の疲労軽減である。
そして、くどいけれど、BMWのこの機能も日産のプロパイロット2.0も、運転の責任は常にドライバーにあり、まわりをよく見て危険だと思ったらドライバーが的確に対応しなければいけないのでお忘れなく。
◆「ハンズオフ実行中」を伝える合図がわかりやすい
BMWも、プロパイロット2.0同様、高速道路上でのみ機能するようにプログラムされている。ただ、試乗した段階ではなぜか、東京と横浜をつなぐ自動車専用道の第三京浜などは、適用されていない。ヘビーユーザーとしては残念だけれど、第三京浜の本線はめったに渋滞に出くわさないのであまり必要ないかも。
今回は『330i Mスポーツ』で試してみた。操作方法は簡単で、ACC(前車との車間をキープしながら一定速度で走れる機能)で走行中、30km/h以下で条件がそろえば「ハンズオフにしてもいいですよ」という意味のサインがインパネに表示される。ここで、ハンドル上にあるスイッチを押すだけ。
首都高速を走行中、条件がそろったので、ハンズオフのスイッチを入れてみる。すると、ハンドルの中央左右部分に、ぺっかーっと、グリーンライトが点灯した。これがかなり明るい。夜間だったので特に明るく感じる。けれど「ハンズオフ実行中ですよ」と伝える合図としては存在感があって好ましい。システム作動中にハンズオフの条件からはずれると、このライトはイエローに変わる。このあたりもわかりやすい。
ハンズオフ状態で走る。わずかにカーブを描く道では、ぐいぐいとハンドルを自動で操作する様子がよくわかる。もともとBMWの車線維持装置はぐいぐい系で力強いのだが、こうしてハンズオフ状態で走っても、「オレが操作してやるぜ」的な雰囲気が伝わってきて頼もしい。
◆盆暮正月の大渋滞にうんざりな人に
走行しているうちに渋滞が解消され、低速から少しずつ速度が上がる。しばらくはハンズオフのまま加速していくけれど、60km/hになるとキャンセルされた。そう、BMWの場合は、本当にあくまでも「渋滞時」なのである。
渋滞=低速=大きな事故になりにくい。この油断から、ハンズオフで走行中に周囲監視をさぼりそうになるだろうか?
答えはノーである。渋滞の場合、隣にいるクルマが車線変更をしてくる可能性がとても高い。つまり、いつ、自分の前に割り込んでくるかわからないので、油断できないのだ。ACCの車間設定を一番短くしておいても、前を走るクルマがしゅっと加速すれば、一瞬、車間が開く。ここに、横入りされてしまうのである。周囲監視はさぼるどころか、自分で運転している時以上に慎重に行っている感覚である。
とはいえ、ハンドルから手を離せると、疲労感は格段に少なくなる。BMWのシステムはまさにその名のとおり「高速道路渋滞時ハンズ・オフ機能付き」の「渋滞支援システム」。盆暮正月の大渋滞にうんざりな人には、ぜひお勧めしたい機能なのである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。