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シトロエンはフルラインナップ化へ、コンパクトと大型セダンを投入予定…本社マーケティング部長[インタビュー]
シトロエンフランス本社でマーケティング部長を務めるアルノー・ベローニさんが来日した。シトロエンは今後フルラインナップ化を進め、これは日本も同様だという。そこで、この戦略等について話を聞いた。
◆課題は中国市場、日本の成功事例でテコ入れ
2018年、シトロエンはグローバルで100万台を販売し、5年連続で成長している。そのうち80%強がヨーロッパ市場だ。一方南米、特にブラジル等に『C4カクタス』を投入し好調であるという。シトロエンS.A.マーケティング部長のアルノー・ベローニさんは、「グローバルでは非常に良い成績」と評価。アジア、特に日本においても、「2019年は4000台を目指し、過去最高の実績」と強調する。
ただし唯一課題があるとすれば「中国市場だ」とベローニさん。「そこは気になるところなのでこれから力を入れてきたい」という。「欧州や日本市場での成功事例を踏まえ、その成功要因を中国にもそのまま当てはめる」と述べた。
◆4000台の評価
日本市場は高評価とはいえその台数は4000台と規模的には大きくはない。ベルノ―さんは、「確かに数字だけを見ると少ないと感じるかもしれない」としながらも、「非常に価値ある数字だ」という。
その理由は、「日本のユーザーは洗練されており、またデリケート。市場は非常に数多くのメーカーがある自動車大国だ」とそのバックボーンを話したうえで、「その市場で戦うのは決して簡単ではない。しかし我々はそこで成長し続けることが出来たことに意味があり、この数字に繋がっている」と説明。そして、「こうしたお客様の要求レベルが高い市場で成長したことは、どこの国でも成功出来るという自負に繋がる。従って過去数年発展し続けているということ自体に意味がある」とした。
では、なぜ成功出来たのか。ベローニさんは、「新鮮さをキープし続けたこと」と述べる。「過去、日本を含めてグローバルで新車を出した後、モデル末期までそのまま“出しっぱなし”だった。その傾向をなくし、限定車も含めて必ず新しいものを市場に出していくようにした。これが日本市場ではかなり大きく影響したのではないか」と分析する。
日本市場の特徴についてベローニさんは、「非常に要求レベルが高い市場。技術やデザインに対してはもとより、サービスのクオリティに関しても要求は高い」という。
そこでシトロエンとしてはADASが数多く装備されていることをアピールするほか、デザインに関しても「スタイリッシュであることのほかに、アイデンティティがはっきりしている。また大胆さや個性が際立っていることを訴求していく」。そしてより強調したい点として、「フランスブランド」を挙げる。「フランスという国に日本は好意を持ってくれていることが多いので、そこを強調していきたい」とした。
そのほかサービスクオリティに関しても、「セールスマンを採点出来るアドバイザー制を取り入れてより力を入れている」と述べた。
◆セダンも投入しフルラインナップ化
日本市場には2020年に『ベルランゴ』が正式導入され、様々なボディタイプが揃うことになる。「日本市場においてはフルラインナップ化を目指し、1年に1モデルは確実に導入していく」とコメント。また、フルラインナップに向けて足りないボディタイプとしてセダンを挙げ、「今後コンパクト系のセダンと大きめのセダンを出していく」と明言した。
一方PSA内でのブランドの差別化は「現在しっかり出来ている」とし、「プレミアムはプジョーで、競合はVWやボルボ。DSはラグジュアリーなのでアウディ、シトロエンはポピュラーでメインストリート。(欧州では)ヒュンダイやセアト、スコダがライバルになる」と位置付ける。そして、その市場の中で、「それぞれ際立ったブランドにしていきたい」と話した。
◆古いユーザーも大切にパーツ供給も視野
シトロエンは2019年で100周年を迎えた。つまり、それだけ多くのクルマが生産され、ヒストリックシトロエンも数多く存在し、そのユーザーも多い。そういったユーザーに対してシトロエンとして何らかのフォローは考えているのだろうか。
「答えはYES」とベローニさん。「そういったユーザーの方々も大切にしていくことは非常に重要だ」としたうえで、「今があるのは過去のおかげ。未来を作るのも過去のおかげ。必ず過去に立ち返って今後の活動を続けていくことに何の変更もない」という。その一例としてベローニさんは、「シトロエンオリジンズというバーチャルミュージアムや、シトロエンジェネレーションズというショートフィルムを日本向けにも作っている。またオーナー向けの様々なイベントも開催しているので決して軽視はしていない」と述べる。
しかし、パーツ供給等のメンテナンスに関しては苦慮している面もある。「これは日本だけでなく、本国でも大きな問題として挙がっている」とベローニさん。
「現在検討中だが、シトロエンブランドとしてではなく、シトロエンブランドに関係している独立団体で、アバンチュールプジョー(プジョー歴史館)に属したヒストリックカーを大切にする団体企業があり、そこが古いパーツなどの供給に力を入れている。そこと協力し合いながら発展していきたい」とし、これは「日本ユーザーに対しても同様の対応を考えている」と語った。