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産総研、ラストマイル自動運転バスの実証評価を日立市で開始 遠隔運行管理システムなどで安全性確保
産業技術総合研究所(産総研)情報・人間工学領域 端末交通システム研究ラボなどは、自動運転バスによる「ラストマイル自動走行の実証評価(日立市)」を10月19日より開始すると発表した。
端末交通システムとは、鉄道などの基幹交通システムと自宅や目的地との間や、地域内といった短中距離を補完するラストマイルモビリティとも呼ばれる次世代の交通システム。産総研は、茨城県日立市と協力して、SBドライブ、先進モビリティ、日本総合研究所、みちのりホールディングス、日立電鉄交通サービス、日本信号、コイト電工、愛知製鋼、NIPPOなどと共に、端末交通システムの研究開発と実証を進めている。
高齢化と過疎化の進行により、地方では人手不足や財政難などによってバスや鉄道などの路線が縮小または廃止。移動手段の確保や高齢ドライバーの事故などが問題となっている。これらの課題に対し、自動運転技術を活用した新たな移動サービスに期待が高まっている。
今回の実証実験は、廃線敷を利用した「ひたちBRT(バス高速輸送システム)」のバス専用道路および一般道の計3.2kmにて実証評価を行う。自動運転バスは先進モビリティが市販小型バスをベースに改造した車両を使用。車両内外にカメラを設置し、SBドライブの遠隔運行管理システムを用いて、運行状態を把握し安全性を確保。また、走路上の2か所の信号機から自動運転バスが情報を受取ることで、より安全で効率的な運行も試行する。
さらに、見通しの悪い走路では、横断歩行者を検知する路側センサーから自動運転バスが情報を受取り、安全性を向上させる手法についても試行する。車両の位置補正には、道路に磁気マーカーを埋設し、車載のセンサーにより横方向のずれを検出。自動運転システムによる移動サービスで課題となる乗降時の決済方法についても新たなシステムを試行する。
今回の実証実験での自動運転バスの運行は、自動運転のレベル4相当の機能を持った自動運転バスを用いて、運転席にはドライバーが着座するものの、専用道路上では自動運転のレベル3相当の運用として不具合時を除いて自動運転システムが運転主体となった自動走行での実証を予定している。一般道区間でも、自動運転機能での走行をしつつ、ドライバーの負担軽減を目指した自動運転のレベル3相当での実証を予定。将来的なドライバー不在での運行を目指しつつ、自動運転サービスを段階的に社会実装することなどにより、安全性や受容性の向上と自動運転サービスの早期実現を目指す。