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完全自動運転でやりたいことは「車窓の景色を眺めながら高級アイス」 インテージ分析
インテージは12月9日、完全自動運転の実現によって変化するドライバーの姿と、求められるクルマへのニーズについて、各種データを分析した結果を発表した。
まずは、完全自動運転が実現した未来で生活者はクルマの中でどのように過ごすのかを、全国15歳~79歳の男女約7万人に聴取しているインテージの自主調査結果から分析した。その結果、全体では、「車窓の風景を見る」(44.7%)、「音楽を聴く」(32.0%)、「同乗者との会話」(31.1%)など、これまでは運転していることで集中できなかったことを楽しみたいという回答が多くみられた。年代別で見ると、20代以下は「映像鑑賞」(24.5%)、「歌を歌う」(15.0%)、「ゲーム」(14.2%)などにも関心が高く、移動時間をより楽しくアクティブに過ごしたいという志向が読み取れる。一方30~40代では「仮眠、睡眠」(27.7%)、「食事、間食」(22.3%)のポイントが高く、限られた時間を有効に使いたいという価値観が垣間見える。
また、「自動運転機能が実現したら利用したい」と答えた層(=積極層)は35.6%、逆に、「自動運転機能が実現しても自分で運転をしたい」と答えた層(=消極層)は31.5%で、完全自動運転に対して積極的な人と、そうではなく、自分で運転したい人はほぼ同じ割合でいることがわかった。性別と年代別の構成を見ると、積極層は男性49.1%、女性50.1%と偏りがない一方、自分で運転したい消極層では男性が57.4%と女性より多くなっている。年代別では50代までは構成比に大きな差はないが、60代の割合は消極層(24.8%)より積極層(28.6%)が多い。運転における疲労や年齢からの不安が、自動運転に対する積極性の要因であると想像できる。
さらに、自動運転積極層と消極層の生活価値観を、インテージの“生活者のDNA"(顧客のDNA)データから分析。それによると、積極層は買い物に特にこだわりが強いわけではないが、消極層よりブランド感や特別感など、情緒的価値を重んじることがわかった。また人付き合いはより控えめで、個人の時間を大切にし、食や調理に関しては簡便志向が強いようだ。インテージの消費者パネルデータSCIで、実際、積極層と消極層が買っている商品の違いを分析。2018年度の消費財購入経験率を見ると、購入経験率の高いトップブランド群(234ブランド)の中で、自動運転積極層と消極層とで最も差が出た商品は、某プレミアムアイスクリームで、積極層が29.2%、消極層が24.4%と、4.8ポイントの差がついた。
自動運転車の中で、「流れゆく車窓の景色を恋人と眺めながら、プチ贅沢なスイーツを楽しむ」。飲料・食品業界であれば、そんなコンセプトの商品が、またエンタメ業界であれば「長旅のひととき、映画館よりも上質なシートと音響に包まれて、大好きな映画を心ゆくまで」といったコンセプトのサービスが、自動運転車で移動する人の支持を得るかもしれない。