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自動運転バスが最高40km/hで公道走行…新機能追加、次の課題もみえてきた 埼玉工業大学

  • 《撮影 大野雅人(Gazin Airlines)》
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埼玉工業大学で開発中の自動運転バスが9月29日、最高速度40km/hでの公道走行に挑んだ。現場は交通量あり、店舗の駐車場へのクルマの出入りもある本庄早稲田駅前。信号右折2か所、信号左折4か所がある2.3kmの周回コースを走ってみると、新たな課題がいろいろみえてきた。

埼玉工業大学がつくる自動運転バスの最大の特長は、既存のマイクロバスに自動運転システムを後付けするというパッケージ。今回の公道実験車両は、ことし8月に初公開されたモデルで、日野『リエッセ II』がベース車両。

Autowareの自動運転プラットフォーム上に、埼玉工業大学が独自に開発した自動運転AI(自車位置推定・周辺物体認識・予測・経路計画)が司り、同大がマイクロバスむけに設計・開発した接続マイコンを介して走る・曲がる・とまるを制御するという仕組み。

◆初公開から2か月で新たな機能も追加

「この本庄早稲田でのデモ走行にむけて、自動運転監視モニタや自動運転リセットボタンなどを新たに追加。停止直前のガコンという衝撃もAIと制御マイコンの更新で減少させている」と話すのは、埼玉工業大学 工学部 情報システム学科 渡部大志教授(埼玉工業大学 自動運転技術開発センター長)。

8月1日、この自動運転バスを自動車学校内コースで初公開したときは、停止直前にガコンという急停止の衝撃があった。今回、実際に公道走行で感じたのは、その衝撃があるときとないときがある。この症状について渡部教授はこう伝える。

◆PID制御のパラメータと実走行のズレ

「PID制御のパラメータと実走行のズレがあるときに出る症状と思っている。たとえば、アクセル・ブレーキペダルのみ手動で走っていて、全自動化ボタンを押して全自動運転に戻すとき、速度5km/hで走れという自動運転AI側の指令に対して、実際に10km/hで走っていたりすると、つながったと同時にその速度に戻すためにガコンとブレーキがかかるとも思っている。このあたりはまだまだ改善していく」(渡部教授)

そして信号や割り込み車両、駐車場に出入りするクルマ、横断歩道を渡る歩行者なども認識して停止するシーンも確認。ただ、赤信号を認識して停止するとき、停止線よりも10mほど手前でとまるシーンもあった。「信号に近づきすぎるとカメラの信号認識エリアから外れてしまうため、手前でとまってしまう。こうした症状は、事前にテスト走行を重ねて走行コースにあわせてセンサやカメラを調整していくことで解消される」(渡部教授)という。

◆エンジンブレーキと排気ブレーキも自動運転AIが併用

また今回、日野リエッセ IIに標準でつくATシフトレバーが、Dレンジから4レンジ、2レンジへと自動で動いているのもみえた。「これは停止時にDレンジだけのブレーキではなく、4レンジや2レンジでのエンジンブレーキ・排気ブレーキを併用するためにAI側が自動でチェンジしている」と渡部教授。このあたりも既存のマイクロバスに自動運転システムを後付けして動かす工夫がみえる。

既存のマイクロバス本体に手を入れることなく、自動運転AIと制御マイコンで自動運転レベル3で走らせる埼玉工業大学 自動運転バス。もともとベース車両につく空気油圧複合式ブレーキなどを、細かく制御する部分にもまだまだ課題がみえた。今回は、午前と午後、合計10回の公道走行を重ね、子どもを連れたファミリーや関係者・メディアなど100人以上を乗せて完走した。

印象的だったのは、クルマが信号を認識してスムーズに右折し、前方の進路が確認できたとたん、40km/hまで一気に加速していく姿。それはまるで、ベテランドライバーが運転しているような乗車感だった。