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【ホンダ フリード 改良新型】エンジン回転数制御、Honda SENSINGアップデート…安全面の進化も

  • 《撮影 小林岳夫》
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天井が高い室内空間と両側スライドドア、3列シートを備える5ナンバーサイズのミニバンとして、大ヒットした初代『フリード』に続いて現行の2代目モデルが登場したのが2016年。トヨタ『シエンタ』以外には大きなライバルも出現していないが、近頃は技術の進化やトレンドの変化が目まぐるしく、たった1年でも古さ感がにじんでしまうモデルもある。

◆Honda SENSINGをアップデート

ということで、3年が経過したフリードもそうした古さ感を払拭し、鮮度を保つことが今回のマイナーチェンジの狙い。これまでの多くのユーザーから得てきた「信頼」を保つ柱として、「安全」「デザイン」、そしてデビュー当初から足りないと言われてきたという「遊び心」を新たな柱の1つに打ち出したのが大きなトピックだ。

とくに感心したのが、きめ細かな改良が盛りだくさんの安全面。まず、従来からグレード別で装備される「Honda SENSING(ホンダセンシング)」がアップデートされ、ACC作動中の加減速フィールを向上して、追従走行からドライバーによる加速への移行時間が短縮し、より思い通りで気持ちのいい運転ができるようになっているという。

また、昨今注目されているペダル踏み間違いによる事故を防ぐ効果の高い「誤発進抑制機能」に前方だけでなく後方も追加したほか、2020東京オリンピックに向けて整備が進む、「止まれ/STOP」といった英語併記の標識が認識できるようになっている。

◆安心につながる制御や燃費性能の改良も

さらに、安全だけでなく運転する楽しさにもつながる改良が、状況に応じた適切なエンジンブレーキを実現する「ブレーキ操作ステップダウンシフト制御」のガソリン車への採用だ。これはカーブ手前でブレーキを踏むと、旋回中にエンジン回転数をキープしてレスポンスよく再加速できるようにしたり、急な下り坂でどんどん加速してしまうのを防いで安心して下れるといったもので、ドライバーだけでなく同乗者の快適性・安心感もアップするはずだ。

また、「もう少し剛性感が欲しい」との声に応えてステアリングのEPS制御をリファイン。市街地の低速域では現行モデルを踏襲して取り回しやすい制御としつつ、中高速域では路面の乱れに左右されない収まりの良さ、レーンチェンジも安心のしっかりした操舵感とし、より安心して運転できるようになっている。

そのほかパワートレーンでは、排ガスのクリーン化や燃費向上などの改良も施されている。ガソリン、ハイブリッドとも全車に対して、新たな触媒金属の投入、制御データの設定、エンジンブロックの軸間スリットの改良を施したほか、ハイブリッド車にはインテークポートやシリンダーヘッド、ピストンの変更などでノッキング抑制や燃焼安定性の拡大などを実現。ユーザーには見えないところだが、しっかりコストをかけており、全グレードで「平成30年度排出ガス基準75%低減(五ツ星)」、WLTCモード対応となっている。

◆先進的で凛としたフロントマスクに

デザインでは、これまでのフリード同様に愛着の持てるフレンドリーな要素は残しつつも、先進的で凛としたフロントマスクになり、カタマリ感が強まった印象。ボディカラーもホンダとしての新色やフリード専用色など多彩な9色が揃う。

そして新たなフリードの柱として加わった遊び心が、SUVテイストの外観をまとう「CROSSTAR(クロスター)」だ。昨今増えている、アウトドアを手軽に楽しむシティ派ユーザーをイメージしたデザインで、ゴリゴリのSUVルックではないところがフリード流。トレンドに敏感な人たちや、ファミリーミニバンに抵抗がある人たちなど、新しいユーザー層にもアプローチする狙いだ。

こうして新しいフリードを見てきて、今回は試乗する機会がなかったのが本当に残念なほど、早く走らせてみたいと思った。とくに「ブレーキ操作ステップダウンシフト制御」などが加わった安心感のある走りには、大きな期待が湧いた。

実はちょうどこの夏、ミニバンに7名乗車でロングドライブをしたのだが、下りの高速カーブなどでスピードが出すぎてしまったり、1~2名乗車の時よりも明らかにブレーキの制動距離が伸びるなど、ヒヤリとするシーンがあり、運転にとても気を使った経験をしたばかり。フリードの改良は、そんな不安を払拭してくれるものでもあると感じた。こうした「見えないけど確実にユーザーのためになる」進化が盛りだくさんなのが、新しいフリードだ。