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「空港や工場、リゾート地でレベル4自動運転」ZMP RoboCarバスが描く3年先
空港ターミナルビルと駐機場とを連絡するバスが、自動運転レベル3の電動バスに変わる日も近い。乗った後、そんな余韻を感じる試乗会が、千葉県成田市の日本自動車大学校で行われた。
乗ったのは、ZMP製自動運転システムキットを組み入れた『RoboCar Mini EV BUS』。中国バスメーカー ANKAI(安凱客車)製EVバスがベースの自動運転開発用プラットフォーム車両で、自動運転レベル3の走る・曲がる・止まるを体感できる。
自動運転システムは、これまでのZMP RoboCarと同様。ANKAI製EVバスの前後左右4か所とルーフ1か所に3D-LiDARが合計5基、フロントガラスにステレオカメラ(RoboVision)、GPS、IMU、遠隔監視システムなどが搭載されている。
ZMP自動運転システムは、インフラ側にいっさい手を加えない車両自律型、なめらかなアクセル・ステアリング操作、なめらかなブレーキング、信号がない交差点をスムーズに右左折、オーバーライド機能・緊急停止ボタン、遠隔システムで走行状況を把握、といった特長をもつ。
◆停止時のガコンという衝撃もなく
なかでも、試乗してみて体感したのは、ブレーキの挙動。大きな衝撃もなく、停止まで人の足でブレーキペダルを操作するようにスーッととまる。埼玉工業大学が開発した日野『リエッセ II』ベースのレベル3自動運転バスに試乗したときは、停止直前にガコンと衝撃があった。マイクロバスの油圧系パワーステアリングや空気油圧複合式ブレーキを制御する難しさを感じた。
ZMPの RoboCar Mini EV BUS は、埼玉工業大学 自動運転EVバスよりもなめらかにとまる。ブレーキとその周辺の機械には特別な施工などはなく、ベース車両そのものだから、ADC(車両制御装置 Autonomous Driving Controller)から車両ECUへ送られる制御信号にその技術力があるのか。
◆空港や工場内、リゾートなどをレベル4で
ZMPは、国土交通省「空港制限区域内の自動走行に係る実証実験」に参画。ことし3月にこの RoboCar Mini EV BUS を中部国際空港(セントレア)制限区域内 国際バスラウンジ~駐機場(往復2km)を走らせた。3日間で約25km走ってみて、99.1%の自動運転率を記録し、実用化へむけて一歩前進させた。
ZMPは、自動運転車両、自動運転システムIZAC、配車管理システムROBO-HIなどを主軸に、自動運転EVバスの実用化にむけてサポートを展開。こうした空港をはじめ、リゾート地の移動用バス、工場内やテーマパーク内の循環バスなどに、自動運転EVバスの導入にむけた取り組みを加速化させる。
ZMP担当者は、「空港やリゾート地などで、有人のレベル4(特定の場所でシステムがすべてを操作)をめざして開発していく。レベル4自動運転によって、普通2種免許のない人でもスタッフとして添乗できる。そうすると、自動運転確認だけでなく、荷物の積み下ろしや、高齢者に手を貸すといった別のサポートもできる」という活用イメージを話していた。