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フェラーリ、812GTS 発表… 812スーパーファスト がオープンに
フェラーリは9月9日、フェラーリ『812GTS』(Ferrari 812 GTS)を欧州で発表した。『812スーパーファスト』のオープンバージョンとなる。
フェラーリが、最後にフロントエンジンのV12スポーツスパイダーを発表したのは、今からちょうど50年前だ。フェラーリは1969 年、『365GTS4』を発表した。「デイトナ・スパイダー」としても知られる365GTS4は、1967年のデイトナ24時間レースにおいて、2台のワークス「330 P4」と NARTの「412 P」が、横一線に並んでチェッカーを受け、1~3位を独占するというフェラーリの伝説的な勝利を記念したことに由来していた。
フロントにV12エンジンを搭載するというフェラーリのスパイダーシリーズは、365 GTS4 以降、極めて少数の限定車を除いて登場していない。812スーパーファストはフェラーリにとって、50年ぶりのフロントV12レイアウトのスパイダーになる。
◆量産オープンカー世界最強の800ps
パワートレインは、812スーパーファスト譲りの6.5リットル(6496cc)V型12気筒ガソリン自然吸気エンジンだ。フロントミッドシップに搭載されるこのV12は、最大出力800ps/8500rpm、最大トルク73.2kgm/7000rpmを引き出す。フェラーリによると、量産オープンカーとしては世界最強のパワーという。
トランスミッションは、7速デュアルクラッチだ。乾燥重量は1600kgで、前後重量配分は47対53とした。812 GTSは、0~100km/h加速を3秒以内に駆け抜け、最高速は340km/hに到達する。812スーパーファストの0~100km/h加速2.9秒、最高速340km/h以上と、同等のパフォーマンスを備えている。
◆格納式ハードトップの開閉は14秒
ルーフには、リトラクタブルハードトップ(RHT)を採用した。開閉にかかる時間は14秒で、45km/h以下なら走行中でも開閉できる。ウインドストッパーとして機能する電動リアスクリーンは、トップダウンすると立ち上がり、快適性に貢献する。その一方、トップアップすると電動リアスクリーンが下がって開き、自然吸気V12エンジンのサウンドがキャビンに届くようにした。
エグゾーストシステムは、専用チューンを受けた。ルーフダウン時のスポーティさを強調することを目的に、エンジンとテールパイプからの音量を上げてバランスを調整した。さらに、排気面では、中央の延長パイプのジオメトリーを変更することにより、燃焼オーダーによる高調波を加えた。6-in-1エグゾーストマニホールドのモノリシック触媒コンバーターまでのすべてのパイプを等長とし、一次燃焼高調波に優位性を与えてサウンドを最適化した。その結果、走行条件を問わず、キャビン内にV12サウンドが得られるという。
◆外観はオープン化に伴い再設計
フェラーリ・スタイリング・センターがデザインした812GTSは、フェラーリV12フロントエンジンの伝統的な構成とプロポーションを踏襲した。ボディサイズとキャビンスペース、快適性を変更することなく、オープン化が図られた。812 GTSのサイドビューは、流麗なファストバック。名車として知られる1968年式365 GTB4(デイトナ)を連想させるハイテールの2ボックスデザインとした。
車体のリアのルーフ、トノカバー、ラゲッジコンパートメントは、再設計された。ルーフの可動メカニズムが格納されている2つのバットレスを中心に、滑らかさとバランスを新たにブレンドすることを目指したという。バットレスは、前方への推力の感覚を視覚的にもたらすように設計されており、サイドウィンドウにクーペの812スーパーファストとは一線を画す、スパイダーならではの特長を表現している。
トップを下げると、ルーフパネルはトノカバーの下に格納される。また、812 スーパーファストを特長づけるリアホイールアーチのエアロダイナミックバイパスを廃した。その代わりに、フラップを追加装備したリアディフューザーを再デザインしている。