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ZF、AI利用の車酔い防止システム開発中…自動運転車での活用も想定
ZFは、ドイツで開催した「グローバル・テクノロジー・デイ2019」において、人工知能(AI)を用いて、車酔い防止システムを開発していると発表した。
乗り物酔いは、認識の食い違いから生じるものだ。内耳が感じる動きと、目などその他の器官が感じるものとが一致しない場合に起こる。車の同乗者が、コンピューターの画面や本を集中して見ている時に、最も生じがちだ。
ZFは、ザーランド大学のSNNU、ザーランド大学応用科学部門と共同で、車酔い防止システムの研究に取り組む。実験では、さまざまな運転状況下において、同乗者の生理的反応が調べられた。いくつかの研究において、ZFとSNNUの研究者は、乗り物酔いに関して個々が持つ主観的な認識に、最も関係性の高い生理的なマーカーを分析した。さらに、これが車両のドライビングダイナミクスとどう関係しているかについても、研究を行った。
研究チームは、車両を用いて行った1万km以上に及ぶ実験を通し、サーモグラフィーや画像データ、ドライビングダイナミクスデータという形で、中枢神経や自律神経系における生理的マーカーを収集した。5万ギガバイトを越えるデータは、乗り物酔いに関するユニークで多面的なデータリソースになるという。
現在は、複数の車内センサーとウェアラブルデバイスを用いて、研究を行っている。物理的な身体接触を行わずに、乗員の車酔いを検知できる車載用システムを開発することが一番の課題だ。ZFは、身体接触なしで検知可能なシステムが、人によって異なる車酔いという現象を正確に把握するために不可欠だと考えている。これによってドライバーは、例えば後席の子供の具合が悪くなり始めた時に、早い時期にそれを認識し、ドライビングスタイルを変えることができる。将来的には、自動運転車両への活用も見込む。
車の動きに対する反応も、快適な乗り心地に対する考え方もそれぞれ人によって異なる。ZFでは乗員それぞれの身体反応を学習し、個別の設定が可能となるような人工知能メソッドのアルゴリズムを採用している。乗員それぞれの個別データが蓄積されることで、将来的に自動運転車両は、乗員ごとに好みの運転スタイルに調整することができるようになる、としている。