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三菱総研、利用者目線で10年後の自動運転時代を予測する懇談会を設立

  • 《撮影 小松哲也》
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三菱総合研究所は7月2日、10年後の自動運転技術が社会や暮らしにどのような影響を与えるかを予測し、そのために必要な政策提言をとりまとめることを目的とした「自動運転・モビリティサービスで変わる未来懇談会」を設立したと発表した。

懇談会の座長を務める岸博幸慶応義塾大学大学院教授は同日、都内で会見し「近未来に全自動運転が実現して世の中ががらっと変わるみたいなことを政府として言う傾向があるが、2030年段階である程度のことは実現するが、逆に言えばそこ止まりになってしまう。そういう比較的冷静な、自動運転が将来どうなるかという像が政府から提示されていない」と指摘。

さらに「自動運転に関しては非常に供給側目線、つまり全自動の自動車を造る、それを普及させるという観点からの議論ばかりになっている。自動運転のクルマが普及した場合、当然ながら社会や経済活動に非常に大きな影響が生じるはず。逆に言えばその部分でボトルネックが生じて自動運転のメリットが十分享受できない要件、または普及しない状況も考えうるが、そういう検討が全然行われていない」とも強調。

その上で「この懇談会はそういった問題点を補完する観点から、地に足のついた議論をしたいということをやっている」と、懇談会を設立した経緯を明かした。

懇談会ではまず2030年時点で実際に実用化、普及する自動運転技術を想定し、それによってドライバーのライフスタイルがどう変わるのか、また地域や市民生活にどのような影響を与えるのかといったことを、利用者や社会の視点から予測。さらに自動運転技術がもたらす快適なカーライフや市民生活への効果を実現するために国や民間がどのような対策を講じるべきかを提言として取りまとめるという。

懇談会のメンバーは岸教授のほか、弁護士やエッセイストら5名で構成。懇談会の事務局を務める三菱総合研究所の杉浦孝明氏によると「自動運転の研究をする人は入れていない。あくまでクルマを使う側の立場、あるいはクルマを使って社会がどういうふうに変わるのかということに興味がある方々に集まって頂いている」とのことだ。

懇談会はすでに複数回会合を開いて具体的な検討に着手しており、岸座長は「今年の秋に最終的な議論のまとめをしようと思っている。報告書を作ったというだけで終わる気はなく、政治、行政の側に問題意識を持ってもらって必要な検討を進めることを根回ししていきたいと思っている」と語っていた。