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新設計の「D-CVT」変速機で中高速域の効率改善…ダイハツ タント 新型に採用へ

  • 《撮影 雪岡直樹》
  • 《撮影 雪岡直樹》
  • 《撮影 井元康一郎》
  • 《写真 ダイハツ工業》
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  • 《写真 ダイハツ工業》
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  • 《撮影 雪岡直樹》

7月に軽スーパーハイトワゴン『タント』のフルモデルチェンジを予定しているダイハツ工業。デビューに先立ち、エンジン、変速機など、仕様のアウトラインが公開された。

エンジンと並ぶ次期タントの燃費向上のキーデバイスは、通常の金属ベルト式CVTに遊星ギア式動力分割機構を追加した全面新設計のCVT(無段変速機)、「D-CVT(デュアルモードCVT)」だ。

ギア駆動併用のCVTと言えば、変速比の幅を拡大するためにCVTに2段式の副変速機を組み合わせたジヤトコの「CVT7」、ドライバビリティの改善を目的としてCVTに発進用のギアを組み合わせたアイシンAWの「ダイレクトシフトCVT」などが思い浮かぶ。が、D-CVTはどちらの変速機ともギアの使い方が異なる。

まず、発進、加速、低中側での巡航などは従来のCVTと同様に、金属ベルト式の変速機構のみで変速比をコントロールする「ベルトモード」。動力分割機構のクラッチは切断状態で、動力伝達経路にはならない。

動力分割機構の出番は中高速域におけるオーバードライブの時。クラッチが接続され、動力分割機構に駆動トルクが分配される「スプリット(分割)モード」に入る。クラッチ接続直後は金属ベルト6、動力分割機構4の比率で動力が伝達されるが、変速比が高くなる(より低いエンジン回転数でスピードが出る)につれて動力分割機構の伝達比率が高くなり、最も変速比が高い状態では金属ベルト1、動力分割機構9となる。

この作動原理はハイブリッドカー『プリウス』などに使われているトヨタのコンバインドハイブリッド「THS II」とそっくりだ。遊星ギアのみで変速すると、お買い物用の変速機つき自転車のように、ギア比固定の3段変速になるのだが、D-CVTの場合はCVTからの動力伝達をTHS IIの電気モーターのように使うことで、ギアによる無段階変速を可能にしたというのがナイスアイデアなポイント。ギアのみの駆動に比べると効率は落ちるであろうが、通常のCVTに比べるとオーバードライブ時の伝達効率はずっと高い。

この新機構の採用により、D-CVTのレシオカバレッジ(最低変速比から最高変速比までの幅)は従来品の5.3から7.3へと拡大。ただし、タントが使う範囲は6.7まで0.66リットルエンジンに対して車両重量が大きいためだろう。軽セダンやA、Bセグメントの普通車(次期『パッソ』や次期『ヤリス(日本名ヴィッツ)』)では、7.3のカバレッジをフルに使うことが予想される。D-CVTと改良型エンジンの合わせ技により、次期タントの巡航燃費は現行モデルに対し、60km/h時で12%、100km/h時では実に19%改善しているというから楽しみだ。