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トヨタ スープラ 新型試乗会、伊豆の九十九折をコースに選んだ理由[新聞ウォッチ]

  • 《撮影 高木啓》
  • 《photo by Bombardier》
  • 《photo by GM》

気になるニュース・気になる内幕。今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析する新聞ウォッチ。…………

「昨日の敵は今日の友」というこさわざもあるが、国産初のジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」の開発トラブルなどで度重なる納入延期の問題を抱えている三菱重工業が、競合相手のカナダの航空機大手ボンバルディアから小型旅客機事業を買収する交渉を進めているという。

きょうの各紙が1面などで「三菱重、ボンバル買収交渉、小型旅客機事業、MRJ開発強化」(毎日)などと大きく報じている。

記事によると、買収交渉の対象としているのはボンバルディアの小型旅客機「CRJ」事業で、機体メンテナンスなどサービス部門を中心に譲り受けたい考えという。CRJの顧客ネットワークなどを手に入れることで、三菱重工の子会社の三菱航空機を通じて開発を進めるMRJの事業基盤を強化する狙いがあるようだ。

三菱重工がMRJの開発に着手したのが2008年。当初は2013年後半にも全日本空輸に初号機を納入する計画だったが、設計変更や内発トラブルなどで納入時期を5度も延長するなど苦戦している。MRJを軌道に乗せるためにも、ボンバルディアの小型旅客機事業を買収することが得策と判断したとみられる。

MRJの開発にみられるように妥協を許されない「ものつくり」の世界では開発の期間が長期に及ぶケースも少なくない。自動車の新車開発でもいえることだ。トヨタ自動車が17年ぶりに復活させたスポーツ車新型『スープラ』にしても、「本格的にプロジェクトが始まったのは7年前の2012年。当時、『86』が発売されるのとほぼ同時でした」と振り返るのは、『86』の開発に続いて新型スープラも開発責任者を務めたチーフエンジニアの多田哲哉氏である。

トヨタが新型スープラのメディア向け試乗会を森トラストが運営するラフォーレ修善寺の「伊豆マリオットホテル」で開催。伊豆の高原といえば、石川さゆりのヒット曲「天城越え」の歌詞にもあるように、曲がりくねった九十九(つづら)折の山道が多く、そんなホテル周辺の九十九折りの急な坂道が試乗コースだった。

本来、スープラのようなスピードを競うスポーツタイプの試乗会ならば、サーキットなどの直線コースが考えられる。だが、多田氏は「クルマの開発もテストコースが一般的だが、このスープラについては実は一般の道路が8割。世界中のいろいろな厳しい道を走り込むと、テストコースやCGの画面ではわからない乗り心地などを熟知しながら確認できる」と話す。

1台の新車開発に7年間も費やしたのにはこんな背景があったわけだが、ハンドルを握って急坂のコーナーを曲がり切る瞬間、路面から伝わる張り付くような異次元の感覚を体験すれば、伊豆の九十九折の山道をあえて新型スープラの試乗会に選んだ理由も納得だ。

2019年6月6日付

●FRB議長示唆、米利下げ市場の期待(読売・3面)

●ガソリン価格3週連続下落(読売・8面)

●FCA統合「日産の支持前提」仏経済相「日本側の懸念理解」ルノー取締役会再度協議へ(読売・9面)

●中国、フォードに罰金、報復で圧力米企業を標的(読売・9面)

●MRJテコ入れ買収交渉、小型機事業、三菱重、ボンバル社と(朝日・1面)

●ゴーン氏13億円不正、ルノーが調査結果発表(朝日・6面)

●パンクしらずの空気なしタイヤ、24年めざす、GMとミシュラン共同開発(朝日・6面)

●経団連会長療養を延長、中西氏がリンパ腫公表(産経・2面)

●トヨタ取引先1150億円負担増、米の対メキシコ関税、部品供給打撃(産経・11面)

●タカタ問題で未改修車両23万台(産経・22面)

●「量産技術万能薬はない」三菱自動車・益子修会長(東京・6面)

●EV中核部品共同開発、BMW・ジャガー、費用抑制(日経・15面)

●五輪中昼間の時間帯、会場周辺8か所、電車の混雑頻発(日経・32面)