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ミドリムシで エルフ を動かすいすゞ…人とくるまのテクノロジー2019
22日から24日までの3日間、パシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2019」。日本のトラックメーカー大手、いすゞ自動車は2018年にマイナーチェンジした小型トラック『エルフ』を展示。
エルフはこの時に、ステレオカメラを使った安全装置の搭載やコネクティビティサービス「プレイズム」への対応など、大幅なアップデートを行った。車両とともに、NOx分解を行う尿素SCRを搭載した改良エンジンも実機展示。また、現在いすゞが取り組んでいる先端研究の進捗を記したパネル展示を行った。
初代の登場から数えて今年で60周年を迎えるエルフの展示のほうは現行モデルということでそれほど新味はないが、技術展示のほうはかなり意欲的な内容。その最たるものは、ミドリムシを使ったカーボンニュートラル(CO2排出量ゼロカウント)のバイオディーゼル燃料「DeuSEL」生産の進捗だ。
DeuSELとは、DIESEL(ディーゼル)とeuglena(ユーグレナ。ミドリムシの学名)とを組み合わせた造語。組成は石油由来の軽油に似ており、燃料1リットルあたりの炭素量もほぼ同等。現在のディーゼルエンジンに無改修で使用可能であることから、トラックの低炭素化に有用といすゞは踏んでいる。長期目標は2030年に年間100万キロリットルのDeuSEL燃料を生産するというものだ。
「そのときの燃料価格は1リットルあたり100円。簡単ではありませんが、量産が進めば決して不可能な数字ではないと思います」(いすゞのエンジニア)
もしその価格が実現できれば軽油引取税を加えても132円/リットル。原油価格水準次第では十分商売になる数字だ。実現のためにはなお困難な課題をいくつもクリアせねばならないが、ちょっと楽しみになるところだ。
天然ガスを燃料として走る「DFCI」も注目点。通常、天然ガス車はガソリン車と同じオットーサイクルのエンジンを持つが、DFCIはディーゼル燃焼で運転できるのが特徴。少量の軽油を圧縮着火させ、その熱と圧力で天然ガスを燃やすという方式でテストが続けられているという。また、真空断熱タンクを使って低温の液化天然ガスを液体のまま燃料タンクに入れられる技術も紹介していた。