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アウディの最新AIコンセプトになぜか「草生える」、その理由とは…上海モーターショー2019

  • 《撮影 宮崎壮人》
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アウディは4月16日に開幕した上海モーターショー2019で、「レベル4」自動運転に対応したEVコンセプト『AI:ME』を公開した。「未来の大都市のためのモビリティ」を提案するモデルとして様々なアイデアや機能が盛り込まれているが、注目はインテリアに生えた「草」だ。これは自動運転時代のクルマの居住空間のあり方を示す、アウディならではのアプローチだという。

展示されたAI:MEのコックピットを見ると、まずステアリングが見当たらない。メーターやシフトレバーなど、運転に必要な基本装備もそこには存在しない。これは「不要なもの」だからで、自動運転時には格納されるのだという。アウディは『RS7』をベースとした自動運転プロトタイプでも自動運転時のステアリング格納を実現しており、このAI:MEではより進化させたものだと言える。

ステアリングやメーターパネルの代わりにあるのが、ウッド素材のテーブルだ。このウッドはフロントシートの間にも備えられているが、マグネットが仕込まれており金属製のカップやプレートを固定することができるという。「自動化されたアウディAIに乗っている間、乗員はリラックスした食事を楽しむことができます」とアウディは説明する。「車内は家や職場と並ぶ『第三の生活空間』になる。自動化された車内で、時間をどのように使うか」をこのAI:MEで見せているというわけだ。

単に自動運転車を移動手段としてではなく、ラグジュアリーな時間と空間を提供できる場とするのはアウディらしいと言えるかもしれない。車内にはVRゴーグルを備え、インターネットの利用、映画の鑑賞、ゲームのプレイも可能とする。走行音などのノイズを「完全に抑制できる」ノイズ補正を備えたオーディオシステムも組み合わせ、外部と車内を遮断することができるという。「瞑想的な沈黙を楽しむ」ことも可能だそうだ。

そして、その思想をさらに突き詰めたといえるのが「草」だ。正しくは葉っぱだが、広く大きなガラスルーフの内側には木製のパーゴラ(つる棚)が渡され、そこに葉っぱが生えている。これは作り物ではないとのこと。また、助手席側のダッシュボードにも緑が敷き詰められているのが見える。シートと室内を取り囲むウインドウがなければ、これを自動車のインテリアと思う人は少ないだろう。

アウディは「過酷な都市環境ではめったに見られない植生は、乗員に自然への親近感を与え、同時に車内の空気の質を向上させるのに役立ちます。洗練されたフィルター技術により、交通(環境)や都市(的な要素)がAI:MEの内部に侵入するのを防ぐのです」と語っている。