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【トヨタ RAV4 試乗】CVT車を運転していることを忘れてしまうほどのリニア感…工藤貴宏
「ダイナミックフォースエンジン」と呼ぶ2.0リットルエンジン、発進用の1速ギヤを組み合わせたCVT、そして後輪左右の駆動力配分をアクティブにおこなう「ダイナミックトルクベクタリングAWD」。新型『RAV4』のパワートレインには“日本仕様のトヨタブランド初”となる新メカニズムが積極採用されている。
そもそも1車種のなかに4WDシステムが3タイプ(うち1種類はハイブリッド用で、ガソリン用は2タイプ)も用意されているのだから、つくづくパワートレインに凝っているクルマである。
◆CVTのウィークポイントを解消
印象に残ったのは、ガソリン車のCVTとは思えない応答性の良さ。CVTのウィークポイントはダイレクト感がないことだが、RAV4のトランスミッションはCVTながら発進用の1速ギヤを組み合わせたことでスタート時の反応がいい。
さらには変速速度や変速応答性を高めたことで発進以降の加速にもリニア感があり、CVT車を運転していることを忘れてしまうほどだ。なにより、アクセルを踏み込んだ時にまずはエンジン回転が高まり、続いて車速が上がっていくというCVTならではの加速の違和感が大幅に緩和されていたのは驚いた。
歴代RAV4ではじめてとなるハイブリッド(『カムリ』に搭載されているものと基本的に共通)もドライブフィーリングの向上に注力されたもので、従来型のTHSに比べるとリニア感が増しており、これも驚くに値する。しかし、運転しているとガソリン車のほうがより爽快に感じられたのが正直なところだ。
◆雪道では「ダイナミックトルクベクタリングAWD」がおすすめ
ガソリン車に組み合わせる2種類の4WDシステムを乗り比べてみたところ、フラットダートでのコーナリングは(試乗時の環境では)そう大きな違いを感じられず、後輪左右の駆動力配分までおこなう「ダイナミックトルクベクタリングAWD」のほうが「ダイナミックコントロール4WD」より「やや曲がりやすいかな」という程度。
いっぽうで車体が大きく傾きタイヤが浮くようなモーグル路では、タイヤが地面から離れた際のトラクションのかかり方に大きな違いを感じられた。「ダイナミックトルクコントロール4WD」でも電子制御の効果でしっかりとトラクションがかかりスタックするようなことはなかったが、「ダイナミックトルクベクタリングAWD」のほうが接地しているタイヤへのトルク伝達がスムーズかつ素早く、すべてが滑らか。一部が凍った滑りやすい雪道での坂道発進などで、絶大な効果が期待できる。そういった路面を走るユーザーは、「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を積極的に選ぶ価値がある。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
おすすめ度:★★★★
工藤貴宏|モータージャーナリスト
小学校高学年から自動車雑誌を読みはじめ、1日でも早く運転したくて18歳誕生日の翌日には仮免許を取得したクルマ好き。大学在学中から自動車雑誌でアルバイトを始め、自動車専門誌編集部在籍後、編集プロダクションを経てフリーランスライターに。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。愛車はフランス製ホットハッチと、ディーゼルエンジンを積んだSUV。