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ポルシェとミシュラン、低温・ウェット路面のサーキット向け新タイヤ開発
ポルシェとミシュランは、低温・ウェット路面でのサーキット走行に特化した新しいタイヤ「ミシュラン パイロットスポーツ S 5」を共同開発したと発表した。このタイヤは、ポルシェ『911 GT3 RS』の992世代モデル向けに設計されており、サーキットでの走行シーズンを延長することが可能となる。
ポルシェは長年にわたり、自社車両に最適化されたタイヤを開発するため、厳選されたパートナーと協力してきた。今回のミシュランとの共同開発により、ウェット路面でのサーキット走行に特化した公道走行可能なタイヤが誕生した。
新タイヤは、ポルシェモデル専用開発を示す「N」マークを付与。911 GT3 RS向けに4種類のミシュランタイヤから選択可能だ。超高性能タイヤ「パイロットスポーツカップ2 R」の対となる新セグメントを確立。雨が多く涼しい気候の国々での日常使用にも適している。
開発にあたっては、2022年からフランスのミシュラン開発センターで数多くのテストが行われた。ポルシェのブランドアンバサダーのヨルグ・ベルグマイスター氏も、長年のワークスドライバーとしての経験を活かしてタイヤの微調整に貢献した。
主な開発目標は、アクアプレーニング特性の最適化だった。ウェット路面向けに特別設計されたトレッドパターンは、深さ7.4mmの4本の大きな中央溝を特徴としている。これにより、より多くの水を排出できるようになり、高速走行時でも路面との接触が安定する。
また、ゴム配合に高い割合のシリカを使用することで、ウェット路面でのグリップが向上し、タイヤの作動温度への到達が速くなった。このタイヤは、気温5~15度の環境で最適な性能を発揮する。
開発者はタイヤカーカスの材料組成と形状を調整し、直線走行時とコーナリング時の接地面積を最適化した。その結果、要求の厳しい走行状況下でもリミットを感じやすくなり、車両のハンドリングに対する信頼性が向上した。
これらの改良により、ウェット路面での安全性が向上し、ラップタイムも短縮された。ミシュラン開発センターの2.8kmのテクニカルなウェットコースでは、ミシュランのテストドライバーが911 GT3 RSで走行したところ、従来のミシュラン パイロットスポーツカップ2 N0タイヤと比べて10秒以上速いラップタイムを記録した。
新タイヤは当初、ポルシェ911 GT3 RS向けにフロント275/35 ZR 20、リア335/30 ZR 21のサイズで販売される。販売は、ニュルブルクリンクに拠点を置くポルシェGTモデル専門のパフォーマンススペシャリスト、マンタイが独占的に行う。