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日産セレナ e-POWERにe-4ORCE登場、「リアフロアとサス新設でクラストップ室内空間確保」…チーフエンジニア

  • 《写真提供 日産自動車》
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日産自動車は、主力ミニバン『セレナ』の電動モデル(e-POWER)に4輪駆動仕様(e-4ORCE)を追加設定し、11月中旬から販売を開始すると発表した。価格は361万4600円からとなっている。

セレナのチーフビークルエンジニアを務める姫木浩明氏は「今回のe-4ORCEで目指したのは、もともとの魅力である疲れにくい酔いにくい走りをさらに向上させること、また高速での走りにもよりゆとりをもたらせること、そして雪道などの滑りやすい道でも抜群の安心感で走行することができ、ミニバンナンバーワンの魅力を大幅に拡大し、家族とのお出掛けをもっと楽しいものにすること」と語る。

e-4ORCEについて姫木氏は「フロントモーターに加え、リアに出力60kW、トルク195Nmの高出力モーターを搭載した電動4駆となる。前後のモーターと左右のブレーキを統合制御することで各輪の駆動力を最適にコントロールし安定した走行性能を実現する」と説明。

リアモーターの搭載でセレナの売りのひとつである広い車内空間への影響も気になるところだが、姫木氏は「リアモーターの搭載に工夫を凝らすことで、セレナの魅力である室内広さはe-4ORCEでもクラスナンバーワン」を確保しているという。

その実現のため「リアフロアとリアサスペンションを新設した。そしてリアモーターもギアボックスや各種マウントを専用開発し、室内の広さを犠牲にせず、荷室の使いやすさも維持するフロア形状を徹底的に検証した」と姫木氏は明かす。

ちなみに荷室は「ラゲッジアンダーボックスは小型化しているが、洗車道具やキャンプ道具も入る大きさを確保」とした上で、「荷室開口高はクラストップレベルの低さ(540mm)に抑え、荷物の出し入れがしやすい使い勝手の良い荷室となっている」という。

さらに姫木氏は「前後2つの高出力モーターにより車重アップを感じさせないレスポンス良く伸びの良い加速ができる。また車高の高いミニバンでは、高速での横風に不安を感じるお客様もいらっしゃると思うが、力強くなった加速と2駆(仕様と)共通の強みである横風安定性により、さらにゆとりある高速走行を実現している」と強調。

そのe-4ORCEがもたらす走りに関しては「セレナe-4ORCEは(e-POWERモデルの)2駆に比べて前後左右とも約10%向上させている。これはリアに高出力モーターを搭載したことで、より最適となった前後重量配分と、減速時は前後モーターによるバランスの良い回生ブレーキにより急な姿勢変化を抑え頭部の動きを低減した。またカーブ走行時もe-4ORCEの最適な駆動力コントロールによりロール挙動をよりなめらかにすることで頭部の急な動きを抑えている」と解説した。

さらに「雪の坂道、深雪での発進では一般的なメカ4駆やハイブリッドモーター4駆は主にエンジンで駆動するため発進時に駆動力を滑らかにかけられず、前輪が空転し遅れて後輪が駆動するためスムーズに発進するのが困難。一方e-4ORCEは前後2つのモーターで駆動するため、始めから4輪で滑らかに力強く駆動しスムーズに発進することができる」とも付け加えた。

一方、セレナのマーケティングを担当する村田直哉チーフマーケティングマネージャーは「お客様からe-POWERに4駆を入れてほしいという声を多数いただいていたので、e-4ORCEを投入する」とした上で、「これでセレナフルラインアップが完成する」と話す。

村田氏によると2022年11月に販売を開始したセレナの現行モデルは「9月30日時点で15万台を超える受注をいただいている」という。また今回、セレナe-POWERにe-4ORCEを追加することで「e-POWERのうちの15%、セレナ全体でも10%の販売比率を見込む」としている。