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フェラーリが最新ワンオフ、『P80/C』発表…1960年代のスポーツプロトタイプがモチーフ

フェラーリは3月25日、ワンオフモデルの最新作、『P80/C』(Ferrari P80/C)を発表した。フェラーリ『488GTB』をベースに開発されたサーキット専用車だ。

フェラーリは特別な顧客の要望を受けて、ワンオフモデルを製作してきた。最近では2018年12月、『SP3JC』を発表。SP3JCは、1950~1960年代に生産されたフェラーリを象徴するV12エンジン搭載のスパイダーに敬意を表して開発されたワンオフモデルだ。クーペボディしか存在しない『F12tdf』をベースに、フェラーリスタイリングセンターがオープンボディのロードスター化を図った。

◆開発期間はフェラーリのワンオフモデルで最長のおよそ4年

フェラーリの最新のワンオフモデルが、P80/Cだ。顧客の意見を取り入れながら、フェラーリスタイリングセンター、エンジニアリング部門、エアロダイナミクス部門が協力し、究極のワンオフモデルを開発した。デザインのモチーフは、フェラーリを代表するスポーツプロトタイプ、『330P3』(1966年)、『330P4』(1967年)、『ディーノ206 S』(1966年)に求めている。

P80/Cのプロジェクトは、2015年に開始された。これまでに作られたフェラーリのワンオフモデルの開発期間としては、最も長いという。この長期に渡る開発期間において、パフォーマンスやエアロダイナミクスのテスト、デザインの追求などが行われた。これらはすべて、従来のワンオフモデルにおけるフェラーリのアプローチと異なるものだ。

◆リアを細長いキャブフォワードデザインにするためにホイールベースを50mm延長

P80/Cのベース車両は、488GTBだ。ホイールベースは488GTBに対して、50mm長い。これは、レーシングカーの『488 GT3』のシャーシを基本としているためだ。コクピットが中央に配置されるフェラーリ488GTBのレイアウトに対して、488 GT3のシャーシでは、車両のリアを細長いキャブフォワードデザインにすることが可能になったという。

エアロダイナミクスの開発では、488 GT3で得られたノウハウを導入した。フロントリップスポイラーやリアのディフューザーなどは、488GT3の考え方を取り入れながら、P80/C向けに専用設計。その結果、エンジンパワーを最大限に引き出すために必要な空力効率が、およそ5%向上しているという。

488GT3のフラットなアンダーボディを最大限に活用して、ダウンフォースのバランスを追求した。車体のリアの形状は、2017年のF1マシンに採用された「Tウィング」に着想を得ている。後方への空気の流れを最適化するように設計された。

◆公道走行を想定していないためヘッドライトは未装備

P80/Cは公道走行を想定していないため、ヘッドライトは装備されない。本来、ヘッドライトがある部分には、往年の330P3/P4のグリルのエアハウジングを連想させるスリットが採用されている。大型リアウィングやフェンダーの冷却用スリットも装備される。

エンジンカバーのアルミ製ルーバーと、凹型のリアガラスは、330P3/P4がモチーフだ。リアは、パワートレインが見えるようにデザイン。エンジン部分から熱を排出するためのグリルが装備される。ボディはすべてカーボンファイバーを使用する。ボディカラーは、「Rosso Vero」と呼ばれる鮮やかな赤で塗装された。

インテリアには、サーキット走行用にロールケージを組み込む。ダッシュボードのサイド部分は、488GT3とは異なり、新たにデザインされた。カーボンファイバー製のシェル構造となっており、車両の重量に影響を与えることはないという。