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対馬で自動運転バスを運行へ…明治大学と対馬市が実証実験
明治大学研究・知財戦略機構自動運転社会総合研究所と長崎県対馬市が、共同研究事業等に関する連携協定を締結、3月21日に調印式を東京都千代田区の明治大学で開催した。明治大学によると、ハンドル、ブレーキのない車が公道で走るのは初めて。
研究所では、自動運転社会の実現による地域の持続的発展に寄与するために、法律・技術・保険・地域創生・社会実装化の部門で、横断的・学際的な研究を進めている。すでに明治大学は数年前から対馬市と、地方創生について協力関係にある。
対馬市では、島内唯一の公共交通機関であるバス事業における人材不足、林業振興や漂着ゴミ回収などの課題がある。その解決方策の一つとして、自動運転の実証実験に取り組むこととなり、研究所と連携して事業を推進していくことになった。
対馬市における自動運転バスの実証実験は、2019年春以降に実施の予定。SBドライブが保有するフランス製のNAVYA ARMA(ナビヤ・アルマ、15人乗り)の活用を予定している。研究所の中山幸二(なかやまこうじ。専門職大学院法務研究科専任教授)所長は「ハンドル、ブレーキのない車が公道で走るのは初めて。車両はナンバープレートの交付を受ける。実施時期やコースなど実験の詳細は、当局による公道走行の認証を受けてから決定・発表する」と説明する。
対馬市の比田勝尚喜(ひたかつなおき)市長は、「対馬は離島のなかで大きさは3位、135の集落がある。バス路線は循環線から多くの枝線が分かれ、人材不足もあって費用がかかる。生活路線の確保が課題だ。さらに林業、ゴミ回収など自動運転が貢献できるであろう課題もある」と述べ、自動運転が人口減少の進む島に変化をもたらすと期待する。
また林業振興と漂着ゴミ回収について、対馬市しまづくり推進部しまの力創生課の一宮努(いちのみやつとむ)課長は、「対馬は面積の9割が山林だが、従事者が少ない。切った場所から集積場所まで木材の運搬に自動運転を活用したい。漂着ゴミは、海岸に漂着する前に、海面で自動運転の船を使って回収できないか検討している」と話す。
明治大学の土屋恵一郎(つちやけいいちろう)学長、研究・知財戦略機構長は「対馬には日本の社会の問題点が集中して現れている。大学は公器であり、社会に貢献しなければならない」と述べ、対馬市との関係を強化する意思を示した。