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ホンダがタイで生産するEV『e:N1』、まずはレンタカー向けに現地販売開始
ホンダのタイ法人ホンダオートモービルは3月27日、昨年12月よりタイで生産を開始していた電気自動車(EV)『e:N1』の発売を、バンコクモーターショー2024(第45回タイ国際モーターショー)において発表した。日本勢がタイ国内で乗用EVを生産するのは初で、まずはレンタカーでの需要に応えていく。
◆日本メーカーによるタイでのEV生産は初
タイで発売されるe:N1は、2022年4月に中国初のホンダEVとして発表された『e:NS1』と『e:NP1』のタイバージョンとなる。タイ東部プラチンブリ県の工場に設けたラインで右ハンドル車として2023年12月より生産されているが、具体的な生産台数は明らかにされていない。
e:N1の発売により、日系ブランドとしてEVを販売しているのは、日産(『リーフ』)、トヨタ(『bZ4X』)に続く3社目となるが、e:N1は販売をレンタカーのみを対象としているのが違う。当面は一般ユーザーへの販売は想定していないのだ。
その理由を現地でホンダに聞くと、「まずは未体験の方にもホンダEVの良さを知っていただくことを優先した」と話す。
特に「一般ユーザーが自前でEVを持つことは、タイにおいてもまだハードルが高い。しかし、バンコク周辺は充電インフラも整い始めてきたので、Googleマップなどを使って充電ステーションを探しながらドライブするのが、以前に比べるとずいぶん容易になった。今こそがEVのメリットを実感してもらえるチャンス」と捉えたという。
◆航続距離最大500kmを実現する大容量バッテリー搭載
タイにおいて提供されるe:N1は、ホンダが長年にわたって開発の礎としてきた“M・M思想(Man-Maximum、Mecha-Minimum)” の下、人間中心に運転の楽しさを体験できることを基本に開発された。
その特徴は、さまざまな走行シーンにおいて瞬発的な出力と繊細な制御を両立する電動モーターや、航続距離最大500km(NEDC基準)を実現する68.8kWhの大容量バッテリー、新開発の高性能フロントモーター駆動プラットフォーム「e:N Architecture F」で構成される。
特にパワーユニットは3-in-1 電気モーター (モーター、パワードライブユニット、ギアボックス) により、150kW(204PS)の最大出力と、310Nmの最大トルクを発揮。モータースポーツなどで培ったホンダならではのノウハウによるスポーティな走りの追求も忘れていない。
インテリアはプレミアム感漂う広々としたキャビンで、心地よいナイトクルージングが楽しめる青いアンビエントライトも施す。SUVならではの多様なニーズに対応するため、リアシートは60:40の分割可倒式。収容能力を用途に応じて展開できる。アシスト系ではパワーシートは運転席のみに装備。一方で最近のSUVに定番のパワー式バックドアは採用されていなかった。
インフォテイメントシステムは、15.1 インチのアドバンスト タッチ ディスプレイオーディオとなっており、Apple CarPlay および Android Auto にワイヤレスで接続可能。充電機能も持つ4つの USB ポートも備える。
◆レンタカーでの提供は2万9000バーツ/月からを想定
このe:N1のレンタルは、現地の住友三井オートリース&サービスやタイオリックスリースなど、大手レンタカー会社を通じて行われ、料金は価格は破格の月2万9000バーツからを想定。なお、タイで生産したe:N1を他地域へ輸出する計画はあるのかを尋ねてみたが、「今は検討段階」とのことだった。