注目の自動車ニュース
トヨタ紡織らが提案する自動運転ライドシェア空間…ジャパンモビリティショー2023
自動車シートや内装部品の大手メーカーとして知られるトヨタ紡織は、ジャパンモビリティショー2023に出展し、同社が考える未来のモビリティライフをテーマとして自動運転を想定した近未来の移動空間や電動化対応製品などを展示した。
ブースの中央に展示されていたのは、自動運転シャトルのインテリアのコンセプト「MX221」だ。自動運転レベル4を想定したライドシェアモビリティのための車室空間の提案であり、担当者によると、このMX221はトヨタグループ6社が協力して製作されたとのことだ。「トヨタグループのデンソー、アイシン、東海理化、トヨタ合成、JTEKTに協力を仰ぎ、当社トヨタ紡織含め6社で形にしたものです」。
「このようなシェアモビリティを利用する際に、お客さまや、タクシーのサービス事業者は何を求めているのか、どのようなペインポイントがあるのかということを実直に考え、それに対する提案を盛り込みました」
トヨタ紡織は、おもにシート周りの機能提案を担当した。シートモジュールやシート構成部品を脱着・交換することにより、短時間でシートレイアウトを変更することができる機能や、シート本体にも様々な機能性を持たせ、自動運転シャトルで快適に移動するための提案が盛り込まれている。
「自動運転で迎えに来てくれるタクシーを想定していますので、乗客の人数に合わせて、2人の場合はシートを後ろに下げて広々としたレイアウトにしたり、シートを跳ね上げて回転させたり、使わないシートは畳んで端に寄せることができます。このようなシートアレンジは、お客様を乗せる前に、自動的にアレンジする想定です。
また、車椅子のお客様の場合は、JASPA(日本自動車整備振興会連合会)が標準化を進めている車椅子の簡易ロックシステム機構があり、それで簡単にロックができるようになっています。また、車椅子で乗り込みやすいように、車室内へのぼるスロープが出てくるようになっています。」
シートのレイアウト変更だけでなく、シートメーカーのトヨタ紡織ならではの車室内で快適に過ごすための提案が盛り込まれている。
「プライバシーオーディオの機能を備えています。通常スピーカーは左右1つずつなのですが、こちらには2つずつ付いていて、片方のスピーカーがもう片方のスピーカーの音を打ち消すような形で、バブル状の音場を作っているイメージです。その人が聞きたいコンテンツを車室内で楽しめるというものです。
また、車酔いの対策として首元に冷風が出る機能があります。画面でコンテンツを見ながら車で移動すると酔うことがあるのですが、その対策として、首元に冷たい風を当てると車酔いが改善されるという効果があるので、首の後ろのところに吹き出し口を用意し、冷風を当てるというものです」
「そのほか、シートが振動する機能があります。エンターテイメント用途や注意喚起に使うなどを想定したものです。また、自動運転などなにか異変が起きた際に、シートベルトをキュっと2-3回締め付けて、乗員に危険を伝えるという機能も装備しています。」
トヨタ紡織のブースでは、そのほかにもファーストクラスをイメージした高級リクライニングシート「MX Prime」や、シートと体が触れる部分を温めたり冷やしたりすることで、EVの電費向上に貢献する「サーマルコントロールシート」などが展示されている。