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【BMW 3シリーズ 新型】「320i」は日本専用…市場のニーズが色濃く反映された新型のねらい

  • 《撮影 内田俊一》
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ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン)は、第7世代となる新型『3シリーズ』を日本でも発表。3月9日より販売を開始する。発表ベントで明かされた日本市場へのこだわり、日本のユーザーへの思い、そして2019年の新車攻勢について紹介する。

◆日本市場の意見を多く取り入れた新型3シリーズ

過去40年間で累計販売台数は世界中で1500万台を超える3シリーズが販売された。このモデルは「BMWブランドの中で最も成功したモデルであり、世界で最も売れているプレミアムモデルのうちのひとつだ」と紹介するのは同社代表取締役社長のペーター・クロンシュナーブル氏だ。そして、「他のどのモデルよりもBMWというブランドそのものを表現しており、BMWの精神や思いが現れたモデルともいえる」と話す。

この1500万台のうち日本ではおよそ50万台が販売され、その割合は約3%である。しかし3シリーズの商品企画に反映する主要な6大市場のひとつとして位置づけられている。その理由は、「日本が多くの自動車メーカーを抱えた成熟市場であること。そして、BMWのお客様がBMWを心から愛し、その商品に対して多くの思いを持っているからだ」とは、BMWブランド・マネジメント・ディビジョンプロダクト・マーケティングプロダクト・マネジャーの御舘康成氏の弁。そこで、「新型3シリーズの企画が始まった5年前より積極的に日本のお客様のニーズを伝え、この新型に反映してきた」という。

新型3シリーズは、従来のスポーティ性能だけではなく、先進的なデザイン、そして革新的な技術についても多く取り入れられた。その中には当然日本からの意見も反映されている。御舘氏によると、「先進的なデザインでは、高い品質感とプレミアム性を実現させた。日本ではセダンモデル市場が縮小しながらも、多くのお客様がプレミアムセダンに憧れを持ち、買い替えが生じている。そこでお客様が乗った時にプレミアムセダンに乗っているという満足感を高めるためにも、高い品質感とプレミアム性を実現させたかった」と述べる。

また走りでは、「ベースモデルの『320i』を日本専用モデルとして導入した。グローバルでは320iは初期生産に含まれておらず、以降の導入となるが、我々としては新型3シリーズを一刻も早く多くの日本のお客様にお届けしたいと、強く専用エンジンの設定をお願いし実現した」と御舘氏。

またMスポーツグレードも充実させた。3シリーズのMスポーツモデルは世界で3番目に高い比率(日本市場で約55%)であることから、「日本のお客様がいかに3シリーズのスポーティな性能を重視しているかが分かるので、商品強化した」と説明。

先進の安全技術をはじめとする新しいテクノロジーについても、「日本は世界でも最も運転支援技術に対して感度の高いマーケットであることを踏まえ、新型3シリーズはリーディングベンチマークとしてより積極的な提案をしている」とコメントした。

◆大きく変わったインテリア

デザイン面ではインテリアにおいて大きな変化がみられる。これは、フルディスプレイのBMWライブコクピットを全車標準装備したことだ。10.25インチのコントロールディスプレイと12.3インチのフルデジタルメーターパネルによって構成され、それぞれ自分用にカスタマイズが可能だ。コントロールディスプレイはタッチ操作が可能となった。

メーターパネルは、タコメーターを逆回転にすることで、中央に大きなスペースを設け、ここにナビゲーションの近距離マップを出すことによって、「ドライバーが常に視線を道路からそらすことなく、ドライビングに集中させている」と御舘氏。「質感を高めると同時に、新しいIT機能の性能を高める、かつ、BMWらしい駆け抜ける喜びをそこなわない新しいディスプレイの提案だ」と述べる。

安全運転支援機能としては、3眼カメラシステムを国内販売モデルとしては初めて採用した。「1眼は中距離を見て、2眼はそれを人間の目のように左右の目で見る。3眼カメラは遠方、中距離、極めて近い距離をワイドに同時に捉える。これによってより遠方のカーブを含めたスムーズなドライビング、そして近距離からの不測の危険回避に大幅な性能が向上した」という。

◆AI技術やリバースアシストも新搭載

AIを搭載したインテリジェントパーソナルアシスタントも3シリーズに搭載。このシステムの特徴的なところは起動ワードを自分の好きなように設定できる(例えば“OK BMW”や“320”など)ことだ。同時に車両データシステムとも接合していることから、タイヤの空気圧やメンテナンス情報も気軽に問い合わせることが可能だ。学習機能も装備されているが、その学習途中でAIが理解できないことも踏まえ、「そこからシームレスにBMWのオペレーターにつないで、実際のサポートデスクのサポートを受けるという使い方もできる」とのことだ。

パーキングサポートシステムは従来モデルではオプションであったが、今回は標準装備とした。このシステムで新たに追加されたリバースアシストは非常に特徴的だ。これは直近で走った50mの軌道を覚えており、このシステムを作動させるとその軌跡の通りに戻るもの。例えばショッピングセンターで駐車場を探して奥まで入ってしまった時、あるいは狭い道で前に行ったら対向車が来て下がらなければいけない時に非常に便利な装備である。なおこのシステムは先般発売された『8シリーズ』と同様のものだ。

御舘氏は、「このシステムで優秀なのは、リバースアシストを作動させる際、何らかの操作をする必要がなく、時速35km以下になった瞬間から自動的に軌跡を覚えていく」とその利便性を強調する。

あえて標準装備にした理由についても、「全幅が1800mmを超えたことがある」と話す。「日本の道路環境を考慮すると車幅はセンシティブな問題で、前モデルでは専用のボディパーツを起こすことで、車幅を1800mmに留めていた。今回は走行性能の大幅な改善のために車幅が1825mmになったことから、快適に日本のお客様に使ってもらうために、リバースアシストを搭載したパーキングサポートを標準装備した」と説明した。

◆2019年も続くBMWの新車攻勢

さて、2018年、BMWグループは日本のインポーターとして4年連続で第1位(MINI含む)となった。BMWは5万982台で、3年連続で5万台越えを達成。MINIは2万5984台を販売し、9年連続での成長を記録した。また、BMWモトラードは4978台を販売した。この台数は日本における輸入車ベストセラーの上位10車種のうち5車種がBMWグループのクルマ(MINI、3シリーズ、『5シリーズ』、『2シリーズ』、『X1』)だったことでも裏付けられた。これは新車攻勢が功を奏したとクロンシュナーブル社長はコメントし、この勢いは2019年も続くという。

「そのいくつかのハイライトを紹介すると、新しいモデルラインナップとなる新型BMW『X7』は大きく力強さがあり、威風堂々とした存在感を放ち、新たなレベルのラグジュアリーを提供する」と述べ、同様に、「今年の夏にリリース予定のBMW『7シリーズ』は、新しいエクステリアデザインとともに、その高級感やステータス性を鮮明に印象付ける」という。さらにラグジュアリーモデルでは、「BMWにはオープンエアも楽しみたいというユーザーも沢山いるので、そのお客様に間もなく、『8シリーズカブリオレ』を届けられるだろう。その、数か月後には、『8シリーズグランクーペ』が追加される予定だ」とコメント。また、『Z4』も導入予定だ。「MINIは今年60周年を迎え、記念モデルやイベントが行われる予定だ」とした。電気自動車の分野でもBMW『i3』をアップデートし航続距離を伸ばした仕様を導入する。

クロンシュナーブル氏は、「2018年にはグループ全体で、14万台以上の電動化モデルを販売。その結果、世界中で30万台を超える電動化モデルが走行している。2021年までにはBMWグループは電気のみで走行するモデルを4車種に増やす。BMW i3、BMW『iX3』、BMW『i4』、そしてBMW『iNEXT』だ。2025年までにはその数は少なくとも12モデルまで増加し、プラグインハイブリッドを含めると、その数は25モデルになる予定だ」とし、電動化モデルについてもBMWグループ全体で強化していくことを明かした。