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ロータリーエンジンはマツダ社員全員の夢、東堂執行役員「将来につながる発展性ある」
マツダはコンパクトSUV『MX-30』に発電専用のロータリーエンジンと最高出力125kWのモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドモデル(PHEV)『MX-30 ロータリーEV』を追加設定し、9月14日から予約販売を開始した。発売は11月を予定しているという。
◆「マツダにしかないユニークな環境技術」
マツダで国内営業を担当する東堂一義執行役員は同日のオンライン発表会で「MX-30 ロータリーEVは軽量、コンパクト、高出力というロータリーエンジンの特性を生かしたマツダらしい電動化技術。これはロータリーエンジンという独自資産を社会の要請に適合させたマツダにしかないユニークな環境技術」と強調した。
MX-30主査を務める上藤和佳子氏は「本格的なEV普及に向けた過渡期にある今、EVに興味はあっても航続距離や充電環境などから購入を躊躇されている方にマツダならではの技術資産を組みあわせたワンアンドオンリーの新しいプラクティカルな選択肢を提案する」と述べた。
MX-30 ロータリーEVは排気量830cc水冷1ローターのロータリーエンジンを発電専用に使うという独自のシリーズ式PHEVモデル。17.8kWhのリチウムイオン電池を搭載し、満充電で107kmのEV走行が可能。
上藤主査によると「お客様の使用実態に関する調査をしたところ90%以上の方が1日の走行距離が100km未満であることがわかった。この結果を踏まえEVとして使うことを主体とする考え方のもと、急速充電にも対応、1回の満充電でEV走行できる航続距離として107kmを確保した」とのことだ。
さらに「大容量バッテリーと高出力モーターを搭載することで日常の多くの場面ではガソリンを使わずEVのように使って頂ける」一方で、「新開発の電動駆動ユニットである『e-SKTACTIV R-EV』と17.8kWhのリチウムイオンバッテリー、50リットルの燃料タンクを組みあわせることで、普段はできるだけEVとして使いたい、でも長距離走行時にも充電やバッテリー残量を気にせずに走りたいというお客様のニーズにお応えすることができるようになった」とも上藤主査は話す。
外部給電機能も備えており「荷室の電源コンセントを使って1500Wまでの電化製品を使用することができるうえ、V2H給電ではバッテリーが満充電の場合、一般的な家庭の約1.2日分の電力供給が可能」としている。
◆「マツダ社員全員の夢、将来につながる発展性はある」
ロータリーエンジンはマツダが世界で初めて量産化に成功し、マツダの大きな資産となっているが、2012年の『RX-8』の生産終了とともに一旦は供給が途絶えた。
今回、発電用として11年ぶりの復活させた背景について東堂執行役員は「PHEVはどうしてもユニットが大きくなるため、我々も国内ではCX-60に搭載している。我々の資産であるロータリーは軽量かつ高出力、コンパクトを特性としている。そういう意味ではMX-30クラスにPHEVを搭載するのは、我々の資産であるロータリーエンジンを活用することが我々らしい独自の技術」と胸を張る。
今後のロータリーエンジンは展開に関して東堂執行役員は「ロータリーエンジンは多様な燃料にも対応可能ということで将来につながる発展性はあると考えている。しかし現段階では具体的な説明はできないが、我々社員全員の夢でもあるエンジンなので是非とも暖かく応援して見守って頂ければ」と述べるにとどめた。
MX-30 ロータリーEVの価格は423万5000円から491万7000円となっており、MX-30のバッテリーEVモデル(451万1000円-501万6000円)よりも安い価格帯となっている。東堂執行役員は「バッテリーを(EVモデルよりも)少し小さくすることで価格を抑えることができた」と話していた。