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メルセデスベンツの「レベル3」自動運転、米加州で初めて承認…2023年内に納車開始へ
メルセデスベンツ(Mercedes-Benz)は6月9日、SAE「レベル3」の条件付き自動運転システムが、米国カリフォルニア州で初めて承認された、と発表した。
米国で最も人口の多いカリフォルニア州の高速道路で利用できるSAEレベル3のシステムを、標準生産車に導入する認可を受けた最初の自動車メーカーになるという。
メルセデスベンツは、米国向けの『Sクラス』新型とEVの『EQS』に、オプションで「DRIVE PILOT」を用意した。このDRIVE PILOT装着車によるレベル3の条件付き自動運転が、米国カリフォルニア州で認可された。DRIVE PILOTを装着した両車の米国での納車は、2023年内に開始される予定だ。
◆ドライバーの操作がなくても車線内に車両を維持
SAE(米国自動車技術者協会)が定めたレベル3では、ドライバーはシステムに要求された時以外は、運転を常時監視する必要がない。ひとつ下の「レベル2」に対して、ドライバーが運転操作を車両に任せる領域が拡大する。
Sクラス新型とEQSにオプションのDRIVE PILOTを装着すると、レベル3の自動運転が可能になる。道路網に関する正確な情報を、事前に車両システムに提供する。これにより、レベル3の自動運転を可能にする。
DRIVE PILOTが作動すると、車両の速度と前方の車両との車間距離が自動的に制御され、ドライバーの操作がなくても、車線内に車両を維持する。高精度のクラウドベースのマップは、車両の正確な位置や前方の危険に関する情報を提供する。たとえば、車線が規制される前に速度を落とすなど、変化する道路状況に車両を適応させることができるという。
◆車線内での回避操作やブレーキ操作を独立して処理
DRIVE PILOTでは、交通量が多い場合や混雑した状況下において、米国では当局から法的に許可された64km/hを上限に、自動運転できるようになる。
ドライバーがDRIVE PILOTを作動させると、システムが速度と車間距離を制御し、車線内で車両を誘導する。ルートプロファイルや交通標識などが考慮される。システムはまた、予期しない交通状況に対応しており、車線内での回避操作やブレーキ操作を独立して処理する。
DRIVE PILOTは、先進運転支援システム(ADAS)を構成するサラウンドセンサーをベースに開発された。メルセデスベンツは、安全な条件付き自動運転に必要なセンサーを追加している。これらには、ライダー(LiDAR)のほか、緊急車両の青色のフラッシュライトやその他の特殊信号を検出するためのリアウィンドウのカメラとマイク、ホイールハウスのウェットセンサーが含まれている。
◆緊急時には自動的に車両を減速させて停止
DRIVE PILOTは、センサーデータだけでなく、道路の形状、ルートプロファイル、交通標識、事故や道路工事などに関する情報をデジタルマップから受信する。これは、バックエンド接続を通じて利用可能になり、常時最新のデータに更新される。
搭載車には、冗長なステアリングとブレーキシステム、オンボード電気システムも備わっている。そのため、これらのシステムのひとつに障害が発生しても操作性が維持され、ドライバーが安全に手動運転へ引き継ぐことができるという。
ドライバーに深刻な健康問題が起き、車両のコントロールができない状況になった場合、システムは車両を減速させ、最終的に停止させる。同時に、ハザードランプが点滅。メルセデスベンツ緊急通報システムが作動し、ドアとウィンドウのロックが解除されて、救急隊員などが車内にアクセスできるようになる。