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ブガッティの「火球」『ボリード』、走行テスト開始…完売の40台は2024年納車へ

  • 《photo by Bugatti》
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ブガッティは6月1日、サーキット専用のハイパーカーとして、世界限定40台を生産する予定の『ボリード』(Bugatti Bolide)のプロトタイプによる走行テストを開始した、と発表した。

◆横方向に最大2.5Gと速度に応じて3トン近いダウンフォース
ボリードのコンセプトカーの発表から2年半。多くのシミュレーションを経て、プロトタイプは現在、モータースポーツにおけるトップレベルのパフォーマンスを実現するために、妥協のないテストプログラムの一環として、有名サーキットなどで走行テストに取り組んでいる。

最大出力1600ps、乾燥重量1450kgというボリードにとって、テストは過酷で容赦ないものになるという。ブガッティの哲学である「あらゆるドライバーに扱いやすい2シーター」を実現するために、ボリードは1周ごとに限界まで追い込まれ、最適なハンドリング性能を追求している。

そのためには、適切なダウンフォースを確保することが重要。ブガッティのエンジニアリングチームは、数か月に及ぶエアロダイナミクスの開発作業の後、サーキットテストに臨んだ。現在進めている厳しいプログラムでは、横方向に最大2.5G、速度に応じて3トン近いダウンフォースを発生させ、極限のコーナリングスピードを実証しているという。

◆コンセプトカーからホイールやフェンダーのデザインを変更する市販モデル
もともとコンセプトカーだったボリードの市販化は2021年8月、米国カリフォルニア州で開催された「ザ・クエイル・モータースポーツ・ギャザリング」において発表された。価格は400万ユーロ(約5億9980万円)。ブガッティによると、発表から2か月で、40台限定のボリードは完売したという。納車は2024年から開始される予定だ。

すでに、ボリードの市販モデルのプロトタイプの写真が公開されている。コンセプトカーと比較すると、X字のヘッドライトは継承されているが、ホイールやフェンダーのデザインが変更されている。

また、フェンダーには、エアダクトが追加された。ホイールハウス内のエアを抜き、ボディのリフトを抑える狙いがある。ブガッティによると、ボリードの開発テストは量産化に向けて、次の段階に入っているという。

◆8.0リットルW型16気筒ガソリンエンジン+4ターボで1600ps
ボリードは、ブガッティがFIA(国際自動車連盟)の安全要件を満たすサーキット専用ハイパースポーツカーを製造した場合、どうなるかという質問に対する究極の回答だ。ブガッティがこのような妥協のないサーキット専用車を開発するのは、初めてという。ボリードとは、「火球」を意味する。

ボリードは、乾燥重量1450kgと軽量化を追求した最小限のボディ構造に、圧倒的なパフォーマンスを備えたW型16気筒パワートレインを中心に設計されている。シロン用の8.0リットルW型16気筒ガソリンエンジン+4ターボは、ボリードの市販モデルでは、最大出力が1600psになる。エンジンの回転数を引き上げるためにチューニングを施し、さらにシャープなパフォーマンスを実現するために、トランスミッションを改良している。

ブレーキシステムはカーボンセラミックに、耐熱性の高いカーボンブレーキを組み合わせる。充分に暖めないないと効果が発揮されないため、ブガッティのエンジニアは、より効率的に熱を発生・吸収する新しいキャリパーを設計した。18インチのタイヤを装着した場合、ブレーキディスクの径は390mm。各ホイールにカーボン製カバーを装着することで、ブレーキから発生する熱からホイールを保護することができる。

◆FIA世界耐久選手権のマシンと同じスリックタイヤ
FIA世界耐久選手権に参戦する「LMDh」マシンと同じスリックタイヤがリアに装着される。ミシュランとの長年のパートナーシップにより、このタイヤがボリードに採用されることが決まっている。

ブガッティの開発チームは、シロンと異なる新形状のカーボン製モノコックや冷却システム、トランスミッション、サスペンションなど、多くのコンポーネントを再設計した。それぞれのコンポーネントをボリードのコンパクトで空力的なデザインの中に、ミリ単位の余裕をもって収めることが求められた。

新しいエンジンマウントを採用したボリードのサスペンションは、シロンの3倍の剛性を持つ。ユニボールサスペンションベアリングの効果で、ドライバーにさらに正確なフィードバックを与えるという。また、3Dプリントされたチタン製ロッカーを使用し、複雑な形状の軽量コンポーネントを作り出した、としている。