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ポルシェ『ミッションX』、次世代EVスポーツはニュル最速の市販車が目標
ポルシェ(Porsche)は6月8日、次世代EVスポーツを提案するコンセプトスタディ、『ミッションX』をドイツのポルシェミュージアムで初公開した。ポルシェのスポーツカー誕生75周年を祝福する。
◆『タイカン・ターボS』の約2倍の速さで充電
ポルシェでは、革新的なコンセプトカーが常に未来へのベースを築いてきた。スポーツカーメーカーのポルシェは、この伝統を受け継ぎ、最新のコンセプトスタディとして、ミッションXを発表した。ミッションXは、ハイパーカーを新たに解釈したものだ。ルマンスタイルのドアが前方に向かって上方に開き、高性能で効率の高いEVパワートレインを搭載している。
このコンセプトカーを量産化した場合、ニュルブルクリンク北コースで最速の市販車になることを目指す。パワーウェイトレシオ(1馬力あたりの車両重量)は、1kg/psが目標。現行の『911 GT3 RS』よりもダウンフォースを大幅に増加させる。バッテリーに関しては、現行『タイカン・ターボS』の約2倍の速さで充電できるようにするという。
ミッションXは、ポルシェ『959』、『カレラGT』、『918スパイダー』と同様に、未来の車両コンセプトを進化させるための重要な原動力になるという。
◆カーボン強化プラスチック製の外骨格を備えた軽量ガラスドーム
ミッションXの全長はおよそ4500mm、全幅およそ2000mm。ホイールベースは2730mmで、カレラGTや918スパイダーと同じサイズだ。エアロダイナミクスを高めるために、このコンセプトカーには、フロントに20インチ、リアに21インチのタイヤとホイールが装着されている。
全高1200mm以下と低く構えたボディは、専用色のロケットメタリックで仕上げられた。ベルトラインの下には、カーボン織り仕上げのデザインエレメントを備える。これらのコンポーネントは光沢サテン仕上げとした。
リアアクスルには、ほぼ透明なエアロブレードが取り付けられている。ブレーキの冷却を高めるために、タービンのように設計された。カーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)製の外骨格を備えた軽量ガラスドームが、両方の乗員の上に広がっている。
◆左右のシートのカラーが異なる非対称のインテリア
デザイナーは、ミッションXにおいて、ポルシェの特長的な4灯式ライトを再解釈した。ポルシェ「906」や「908」など、歴史的なレーシングカーからインスピレーションを得たヘッドライトの垂直ベースのフォルムは、道路に向かって引き下げられている。サポート構造がLEDライトモジュールを囲み、デイタイムランニングライトとインジケーターのナローエレメントを露出させた。ヘッドライトは作動時に目が瞬きをするように開き、完全に点灯した時には存在感を示すという。
ミッションXの後部を特長づけるのが、浮かんでいるように見えるフルレングスのライトユニットだ。照らされる透明の「Porsche」ロゴが際立つようにした。空中に浮遊するように見える彫刻的なリアライトは、4つのセグメントに分かれて車両の全幅に広がる。充電中はPorscheロゴの「e」が脈動する。
ミッションXでは、非対称のインテリアを採用した。左右のシートはカラーが異なる。アンダルシアブラウンのレザーパッドを除いて、運転席はカラハリグレーで、センターコンソールやダッシュボードと一体の色調を形成する。対照的に助手席は、アンダルシアブラウンの色合い。CFRP製シートシェルとモノコックに統合された6点式シートベルトや、モードスイッチとパドルシフトを備えたオープントップのステアリングホイールを装備した。車両には複数のカメラが装備される。ドライバーがマルチパーパスコントローラーのレコードボタン(REC)を押すと、録画が開始される、としている。