注目の自動車ニュース
ボルボが新型電動SUV『EX30』を発表へ…ブランド史上最少のカーボンフットプリント
ボルボカーズは5月24日、ワールドプレミアを6月7日に行う予定の新型コンパクト電動SUV『EX30』(Volvo EX30)が、ボルボ史上最少のカーボンフットプリントを実現すると発表した。
◆『C40』と『XC40』と比較してカーボンフットプリントを25%削減
ボルボEX30は、その全ての製造過程とライフサイクルにわたる排出量削減に取り組むことで、20万km走行におけるカーボンフットプリントの合計を30トン以下に抑えた。これは、現行EVのボルボ『C40』や『XC40』と比較して25%の削減だ。2018~25年の間に車両1台あたりのCO2排出量を40%削減するというボルボカーズの目標に向けて、順調に進んでいることを示しているという。
EVのボルボEX30は、テールパイプからの排出がゼロ。これは、CO2排出量を削減するだけではなく、空気をきれいにする。例えば、南カリフォルニア大学の最新の研究によると、ある地域でEVが少し増えるだけで、喘息による救急外来の総数に直接的に好影響を与えることが明らかになっているという。
しかし、自動車からのカーボンフットプリントを減らすためには、電動化だけでは充分ではない。自動車は走行するだけでなく、デザインされ、開発され、製造され、輸送される。そして、すべての工程で、温室効果ガスの排出量を削減することができる。
◆プラスチックのリサイクル素材の使用率はボルボ車で最高
ボルボEX30のCO2排出量を、現行EVの75%まで削減することができた要因のひとつが、ボディサイズの小型化だ。これにより、製造するために必要な素材が少なくて済む。アルミとスチールは、車両の生産に関連するCO2排出量の最大要因のため、EX30はこの点において、大きな違いを生み出すことができるという。
さらに、EX30の製造段階でアルミやスチールの使用量を減らす一方、リサイクル素材をより多く使用している。ボルボEX30の製造に使用される全アルミニウムの約25%、および全スチールの約17%がリサイクル素材となっており、これらの素材による環境負荷をさらに軽減している。
ボルボEX30に使用されている素材も、よりサステナブルな新しい車づくりに貢献する。内装のコンポーネントから外装のバンパーに至るまで、車両に使用されている全てのプラスチックの約17%がリサイクル素材。これはボルボ車の中で、最も高い割合になる。
◆100%クライメート・ニュートラル電力で稼働する工場で生産
排出量削減のために重要なもうひとつの領域は、クリーンエネルギーを利用した製造とサプライチェーン。ボルボEX30は、100%クライメート・ニュートラル電力を含む高レベルなクライメート・ニュートラル・エネルギーにより稼働する工場で製造される予定だ。
ボルボEX30の製造プロセスは、さまざまな方法で効率化が追求された。ボディパーツのプレス加工における素材の車両への利用率が、ボルボの中でも最も高い車のひとつになっている。
また、ボルボカーズは、素材のトレーサビリティという課題にも取り組み続けている。とくに、EX30のバッテリーパックを製造する際には、リチウム、マンガン、コバルト、グラファイト、ニッケルなどの重要な原材料を追跡できるように、ブロックチェーン技術を導入している。
◆デニムのインテリア装飾に本来は廃棄物となる繊維を活用
EX30では、シートやダッシュボード、ドアに、デニム、亜麻、リサイクルポリエステルを約70%含むウール混紡素材など、リサイクル素材や再生可能素材を数多く使用している。とくにデニムは、よりスマートでサステナブルに素材を使用する方法を示す代表的なものという。
デニムで車内のインテリア装飾を作るために、ボルボカーズはデニムのリサイクル工程において、本来は廃棄物になる繊維を活用している。ジーンズがリサイクルされる時、細断された繊維は糸状に撚られ、長い繊維は互いに絡み合う。短い繊維は通常、廃棄物として処分される。ボルボカーズは、この短い繊維を回収し、デニムのインテリア装飾に利用している。
EX30は、いわゆる「クレイドル・トゥー・ゲイト」のCO2排出量を約18トンと想定している。クレイドル・トゥー・ゲイトとは、原材料の調達から完成した車が販売店に到着するまで、つまり車が使用開始されるまでのCO2排出量を指す。EX30は、そのライフサイクル終了後においても、素材をリサイクルし、またリサイクルできない部分からはエネルギーを回収することで、95%まで再利用できるように設計されている。