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マツダのモータースポーツ、支援するのは草の根…東京オートサロン2023
千葉市・幕張メッセで開催された東京オートサロン2023(会期1月13日~15日)。
マツダといえば13日、ベルギーのブリュクセルで行われているサロン・ドート2023(ブリュッセルモーターショー2023)のプレスカンファレンスでロータリーエンジン搭載のPHEV(プラグインハイブリッドカー)『MX-30 R-EV』を公開したことが話題となっていたが、幕張ではそういった技術指向の展示はまったくなし。カスタムカーの出品もゼロ。展示のテーマはグラスレース(草レース)だった。
「近年マツダは『ロードスター』をはじめ、比較的低廉な価格でレースを楽しめるモデルが多いという評価をいただいています。アメリカでは“グラスレースはマツダ”と言っていただけるようになっています。そこでモータースポーツをターゲットにした展示を行おうと考えたのです」
マツダ関係者はこのように今回の展示の背景を語る。
◆モータースポーツをサスティナブルなものにするミドリムシ
ブース内に展示されていたのはサブコンパクトクラス『マツダ2(旧デミオ)』をベースにミドリムシを原料とするバイオ燃料を使えるよう改造し、2022年スーパー耐久に参戦した『MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio Concept』。コンパクトクラス『マツダ3』をベースにバイオディーゼル燃料に適合させた2023年スーパー耐久に参戦予定の『MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio Concept』。そしてスーパー耐久ST-5(1.5リットル以下)に参戦していた「倶楽部MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER」。
マツダスピリットレーシングというサブネームは単なる車両のネーミングではなく、マツダが2021年11月に設立したレーシングチームの名称。
「アマチュアレースでマツダ車がさかんに使われるようになってきたという状況にかんがみて、私たちはメーカーが大々的にレースに参戦するワークスではなく、自分でレースを楽しみたいというファンをバックアップするほうに注力しようと考えてマツダスピリットレーシングを設立しました。モータースポーツをサスティナブルなものにするためにカーボンニュートラル燃料を使えるようにすることなど、やるべきことはたくさんあります。マツダ2、マツダ3もカテゴリーはスーパー耐久のST-Q(実験車が参戦可能なエキジビションクラス)です。ここに展示しているマツダ3はディーゼルですが、2023年のシーズン中にガソリン代替燃料車の出場も目指しています」(前出のマツダ関係者)
◆eスポーツとリアルなモータースポーツの橋渡し
ブース内にはもう一台、前出のマツダスピリットレーシングロードスターと同じ車体色をまとった『MAZDA ROADSTER NR-A PARTY RACE III VERSION』が展示されていた。これはナンバー付きロードスターによるワンメイクレースのレギュレーションに合致した車両とのことだが、これを展示したのには2つの意味があるという。
ひとつはこのパーティレースで好成績を収めたドライバーがスーパー耐久にステップアップ可能というルートの存在を示すこと。もうひとつはドライビングシミュレーションゲーム『グランツーリスモ7』を使ったeスポーツ競技「バーチャルレースチャンピオンシップ」で好成績を取った選手を実車レースであるパーティレースに乗せるプランができたことをPRすること。
とりわけ興味深いのは、eスポーツとリアルなモータースポーツの橋渡しという取り組みだろう。リアルとバーチャルは二項対立的に捉えられがちだが、eスポーツからスーパー耐久までステップアップの道が開かれているとあれば、参加者のリアルワールドへの関心が深まる可能性がある。
世界のメジャーモータースポーツへの参加がなくなったマツダだが、草の根支援に関してはむしろ積極性を増しているということが展示からひしひしと伝わってきたマツダブース。今後の進展に大いに期待したい。