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レベル3の自動運転を米国に拡大展開へ…メルセデスベンツがCES 2023で導入を発表
メルセデスベンツ(Mercedes-Benz)は1月5日、米国ラスベガスで開幕したCES2023において、「レベル3」の条件付き自動運転システムを2023年、米国カリフォルニア州とネバダ州で導入すると発表した。
メルセデスベンツは、ドイツ本国向けの『Sクラス』新型とEVの『EQS』に、オプションで「DRIVE PILOT」を用意。これを装着した場合、レベル3の条件付き自動運転が可能になる。これによりメルセデスベンツは、条件付き自動運転の公道走行の認証を取得した世界初の自動車メーカーになったという。ドイツ本国に続いて、米国市場にDRIVE PILOTの拡大展開を図る。
◆オプションの「DRIVE PILOT」で自動運転が可能に
SAE(米国自動車技術者協会)が定めたレベル3では、ドライバーはシステムに要求された時以外は、運転を常時監視する必要がない。ひとつ下の「レベル2」に対して、ドライバーが運転操作を車両に任せる領域が拡大する。
ドイツでは、Sクラス新型とEQSにオプションのDRIVE PILOTを装着すると、レベル3の自動運転が可能になる。道路網に関する正確な情報を、事前に車両システムに提供する。これにより、レベル3の自動運転を可能にする。
DRIVE PILOTが作動すると、車両の速度と前方の車両との車間距離が自動的に制御され、ドライバーの操作なしに車線内に車両を維持する。高精度のクラウドベースのマップは、車両の正確な位置や前方の危険に関する情報を提供する。たとえば、車線が規制される前に速度を落とすなど、変化する道路状況に車両を適応させることができるという。
◆ドイツでは60km/hを上限に公道での自動運転を認可
DRIVE PILOTは当初、交通量が多い場合や混雑した状況下において、ドイツでは当局から法的に許可された60km/hを上限に、自動運転できるようにした。
ドライバーがDRIVE PILOTを作動させると、システムが速度と車間距離を制御し、車線内で車両を誘導する。ルートプロファイルや交通標識などが考慮される。システムはまた、予期しない交通状況に対応しており、車線内での回避操作やブレーキ操作を独立して処理する。
DRIVE PILOTは、先進運転支援システム(ADAS)を構成するサラウンドセンサーをベースに開発された。メルセデスベンツは、安全な条件付き自動運転に必要なセンサーを追加している。これらには、ライダー(LiDAR)のほか、緊急車両の青色のフラッシュライトやその他の特殊信号を検出するためのリアウィンドウのカメラとマイク、ホイールハウスのウェットセンサーが含まれている。
◆緊急時にはシステムが10秒以内に車両を減速させ停止させる
DRIVE PILOTは、センサーデータだけでなく、道路の形状、ルートプロファイル、交通標識、事故や道路工事などに関する情報をデジタルマップから受信する。これは、バックエンド接続を通じて利用可能になり、常時最新のデータに更新される。
DRIVE PILOT搭載車には、冗長なステアリングとブレーキシステム、オンボード電気システムも備わっている。そのため、これらのシステムのひとつに障害が発生しても操作性が維持され、ドライバーが安全に手動運転へ引き継ぐことができるという。
ドライバーに深刻な健康問題が起き、車両のコントロールができない状況になった場合、10秒以内にシステムは車両を減速させ、最終的に停止させる。同時に、ハザードランプが点滅。メルセデスベンツ緊急通報システムが作動し、ドアとウィンドウのロックが解除されて、救急隊員などが車内にアクセスできるようになるという。