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【トヨタ プリウス 新型】EV航続を推理する—80、90、100km?
トヨタ自動車が11月16日に新型の第5世代『プリウス』の量産試作車を公開した。詳細スペックはまだ明らかにされていないが、電動化ニーズの高まりに伴うPHEV(プラグインハイブリッド)は注目の的になるだろう。
◆Eを入れた
まずは名称。トヨタはHEV(Hybrid Electric Vehicle=ハイブリッドカー)を「HV」、FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)を「FCHV(燃料電池ハイブリッドカー)」「FCV(燃料電池車)」等々、車両のタイプの呼称に電気自動車の“E”を入れるのを意図的に忌避してきたという歴史を持つ。プラグインハイブリッドカーも自動車工学の世界で使われるPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)ではなく「PHV」という独自のサブネームをつけていた。
ブランドの継承性を重んじるなら新型もPHVになるところだろうが、トヨタはこのところEを入れないという主義を急速に弱めており、第5世代プリウスでも公式ページでPHEVと表記している。もともとPHVという名称は日本向けのもので、アメリカではプリウス、SUVの『RAV4』などのPHEVには「プライム」という別のサブネームをつけていたことから考えても、次期型への切り替えを機にリネームされる可能性は十分にある。
◆EV航続はサプライズで3ケタ?!
続いてEV航続性能。現行モデル比50%以上の航続距離増とのことだが、その現行モデルの公称EV航続は195/65R15タイヤ装着車がWLTCモードで60km、215/45R17装着車が50km。この数値差は純粋に装着タイヤによる走行抵抗および空気抵抗の違いによるもので、JC08モード時代には出なかった差である。
新型の航続距離だが、従来比50%以上の増加とだけ発表されている。現行モデルのうちどちらの航続距離の5割増しかが焦点だが、電動化に関しては特段のプライドを持つトヨタがスポーツタイヤモデルの5割増しに相当する75~80kmというしょっぱい数字で終わらせるということはちょっと考えにくい。バッテリーパックの体積出力密度が5年前に比べて格段に上がっていることにかんがみると、エコタイヤモデルの5割増しの90km、サプライズ狙いなら100kmが期待できよう。
そして第3のファクターである充電。現行モデルは当初、ローエンドグレード以外は急速充電口を標準装備していたが、モデルライフ途中の改良でオプションに落とした。SUVの『RAV4』『ハリアー』のPHEVは普通充電のみである。新型の充電リッドを見ると、普通充電口と急速充電口の両方を設置するのは面積的にちょっと無理そうで、こちらも普通充電のみとなる可能性が高い(編集部注:発表会では開閉不可)。
急速充電口は充電だけでなく停電時などにクルマから住宅に給電するV2Hという用途もあるのだが、普通充電のみとなるとその機能はいったん引っ込めるのだろう。ちなみに第5世代プリウスは窓を閉めたまま車内の交流100V・1500W出力ソケットからケーブルを車外に引き出して使えるアタッチメントが標準装備されるとのこと。停電時に100V・15Aぶんの家電を使う時の利便性は旧型より向上しているとみてよかろう。