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F1譲りの1.6リットルターボ搭載、メルセデスAMG『ワン』…ニュル最速の市販車に

  • 《photo by Mercedes-Benz》
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メルセデスAMGは11月10日、新型2ドアハイパーカー、メルセデスAMG『ワン』(Mercedes-AMG ONE)がドイツ・ニュルブルクリンク北コースにおいて、最速の市販車になったと発表した。計測したラップタイムは、6分35秒183だ。

◆ポルシェ『911 GT2 RS』のラップタイムを3秒以上短縮
このタイムは2021年、ポルシェ『911 GT2 RS』(純正オプションの「マンタイパフォーマンスキット」装着車)が計測した6分38秒84を3秒以上短縮するもの。メルセデスAMGのファクトリードライバーで、ブランド大使も務めるマロ・エンゲル選手が、タイムアタックを担当した。

エンゲル選手は、「Race Plus」モードを選択した。このモードでは、アクティブエアロダイナミクスが最大限に機能する。シャシーも引き締められ、フロントアクスルで 37mm、リアアクスルで30mm車高が下がる。モーターからは、フルにパワーが引き出される。

「ドラッグ・リダクション・システム(DRS)」は、ドライバーがステアリングホイールのボタンを押すことで作動する。これにより、フロントルーバーと2段式リアウィングの上側のエアロエレメントが格納される。システムが減速やある程度の横加速度を検出すると、エアロエレメントが瞬時に再び展開する。

◆1.6リットルV6ターボに4モーターで1063hpのパワーを発揮
F1マシン譲りの1.6リットルV型6気筒ガソリンターボエンジンをミッドシップに搭載する。ピストンやクランクシャフト、電装システムが専用設計となり、エンジンは1万1000rpmと非常に高回転まで回るのが特長だ。最大出力は574hp/9000rpmを発生する。この1.6リットルV型6気筒ガソリンターボエンジンに、フロント2個(163hp×2個)、ターボチャージャーとエンジンにそれぞれ1個(122hpと163hp)の合計4個のモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(PHEV)とし、加速時などにエンジンのパワーをアシストする。PHEVシステム全体で1063hpのパワーを引き出す。

電動ターボは発電機としても機能し、排気ガスのエネルギーを利用して、電気エネルギーを生成する。この電力は、リチウムイオンバッテリーに蓄えられるか、「MGU-K (モーター・ジェネレーター・ユニット・キネティック)」に供給される。 MGU-Kの出力は120kWで、エンジンに配置されており、スパーギアシステムを介してクランクシャフトと接続されている。これは、F1で最大の効率とパフォーマンスを実現するためのテクノロジーのひとつだ。

バッテリーセルとその配置、冷却システムには、メルセデスAMGペトロナスのF1マシンと同じ技術を使用する。リチウムイオンバッテリー、12Vの車載電気システム向けのDC/DCコンバーターは、フロントアクスル後方の車両フロアにコンパクトに搭載される。高電圧の「EQ Power +」プラグインハイブリッド(PHEV)システムは、通常の400ボルトではなく800ボルトで作動する。電圧レベルが高いため、ケーブルの太さを細くでき、それに応じてスペースと重量を節約している。

◆0~100km/h加速2.9秒で最高速は352km/h
メルセデスAMGが開発したパフォーマンスハイブリッドモデル用の高性能バッテリーが採用される。メルセデスAMGペトロナスF1チームのノウハウを導入して、開発されたリチウムイオンバッテリーとなる。この高性能バッテリーは、連続して高いパワーを引き出すことができるのが特長だ。これに軽量構造を組み合わせて、車両の性能を向上させる。高いエネルギー密度を備えており、たとえば高低差の大きい山道を走行する場合、上り坂でも素早くフルパワーを引き出すことができるという。

このメルセデスAMGの高性能バッテリーは、8.4kWhの蓄電容量を備える。バッテリーの充電は、充電ステーションやウォールボックス、家庭用コンセントに、出力3.7kWの車載AC充電器を接続して行う。EVモードの航続は最長で18.1kmとした。

トランスミッションは7速「オートメーテッドマニュアル」で、駆動方式はハイブリッド駆動のリアアクスルと、トルクベクタリング付きの電動フロントアクスルを備えた4WD「AMG パフォーマンス4MATIC」だ。メルセデスAMGワンは、0~100km/h加速2.9秒、0~200km/h加速7秒、0~300km/h加速15.6秒、最高速352km/h(リミッター作動)のパフォーマンスを可能にしている。