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車内がギャラリー、ベントレー『ベンテイガ』を名車のアートでカスタマイズ
ベントレーは8月19日、米国で開催された「ザ・クエイル・モータースポーツ・ギャザリング」において、SUV『ベンテイガ』の「エクステンデッド・ホイールベース」(Bentley Bentayga Extended Wheelbase)をベースにした「マリナー・ギャラリー」を初公開した。
同車は、ベンテイガのロングボディをベースに、ビスポーク部門の「マリナー」がカスタマイズを施した1台限りのモデルだ。車名の「ギャラリー」には、ベンテイガを移動アートギャラリーに変身させる、という意味合いを込めている。
◆運転席側の後部ドアに『ブロワー・コンティニュエーション・シリーズ』
ハイライトは、インテリアにある。ダッシュボードの左右の2枚のトリムパネル、各ドアのトリムパネルの合計6枚のトリムパネルに、アート作品が描かれている。各ドアのアート作品は、異なるマリナーのプロジェクトが特長だ。
運転席側の後部ドアには、『ブロワー・コンティニュエーション・シリーズ』が描かれた。名車『ブロワー』の復刻モデルとして、12台が順次生産され、顧客に引き渡されている。
オリジナルのブロワーは、ヘンリー・ティム・バーキン卿のレースチームのために、4台が製造された。4台のチームカーの中で、ベントレーが所有する2号車(シャシー番号「HB3403」、エンジン番号「SM3902」、ナンバー「UU5872」)を、ブロワー・コンティニュエーション・シリーズのために分解。一つひとつの部品を残らずレーザースキャンするところから、プロトタイプの製作は始まったという。
◆運転席のドアトリムに『マリナー・バカラル』
運転席のドアトリムと、そこからつながるダッシュボードに描かれたのは、『マリナー・バカラル』だ。マリナー・バカラルは、2シーターのオープンカーが魅せる究極のラグジュアリーを具現化した最高峰のグランドツアラーを目指して開発された。長い歴史を持つ名門コーチビルダーのマリナーが、コーチビルディングの原点に立ち返って製作したのが、マリナー・バカラルだ。
素材とテクノロジーを融合させて、クラフトマンシップを追求する。そのデザインDNAは、コンセプトカーの『EXP 100 GT』から受け継がれた。 テーパー形状のリアカウルは、かつての「バルケッタ」(小舟)スポーツカーを彷彿とさせる。深みのあるメタリック仕上げのボディカラーは、もみ殻の灰という環境に配慮した素材を使用したものだ。
マリナー・バカラルは、他のベントレー車とボディパネルを共有していない。リアのクラムシェルとトップデッキには、軽量アルミが使用され、ドアとフェンダーにはカーボンファイバーが使われている。デザイナーは3Dプリンターを使用し、独創的なデザインを作り上げたという。
◆助手席のドアトリムに『フライングスパー・マリナー』
助手席のドアトリムと、そこからつながるダッシュボードには、『フライングスパー・マリナー』をあしらった。同車の専用の22インチホイールには、グレーのペイントにポリッシュ仕上げが施された。車輪が回転しても角度が変わらないセルフレベリングホイールキャップが付く。「ダブルダイヤモンド」と呼ばれるフロントグリルとクロームフロントロワーグリル、マリナーブランド入りビスポークウィングベント、サテンシルバー塗装のドアミラーカバーも装備された。ベントレーの「フライングB」マスコットは、電動でイルミネーション付きだ。ジュエルフューエルキャップとオイルキャップも付く。
イルミネーション付きのアウタートレッドプレートと深みのあるパイルのマリナーオーバーマットが装備された。カスタムメイドされた3色の組み合わせを、8種類から選択できる。運転席にはアクセントカラーのパイピング、手縫いのシートにはマリナー独自の刺繍が施されている。
ダイヤモンド・イン・ダイヤモンドのインテリアキルティングには、制作に18か月かかる刺繍が含まれている。各ダイヤモンド型には、712のステッチが入っており、そのすべてが菱形の中心に向かっている。センターコンソールとリアコンソールには、ダイヤモンドミル仕上げが施された。ダッシュボードのセンターにはクロームのブルズアイベントとともに、ブラッシュシルバーのマリナークロックが配置されている。
◆助手席側の後部ドアに幻の1939年製『MkVコーニッシュ』
助手席側の後部ドアには、1939年製ベントレー 『MkVコーニッシュ』が描かれた。同車はもともと、『MkV』サルーンの高性能バージョンという位置付けで試作された車両だった。しかし1939年、第二次世界大戦中にフランスで消失していた。
1939年8月、MkVコーニッシュは、フランスでの走行試験に戻る途中、事故に遭った。シャシーは英国ダービーの工場に送られたが、フランスで修理されたボディは同年、ディエップ港で爆撃に遭い、この世から姿を消した。
同車の復元プロジェクトを、マリナーが手がけた。ホワイトボディ製作チームはパネルを手作業で成形する技術を生かし、パネルを精巧に仕上げた。塗装部門のスタッフは、参考となる資料が乏しい中、多くの時間を費やし、ボディのメインカラーとなる「インペリアルマルーン」とボディサイドを彩る「ヘザーグレー」のカラーサンプルを作成し、復元プロジェクトは完成に至った、としている。