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最高速350km/hオーバー、メルセデスAMG『ワン』の生産を開始

  • 《photo by Mercedes-Benz》
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メルセデスAMGは8月10日、F1技術を導入した新型ハイパーカー、メルセデスAMG『ワン』(Mercedes-AMG ONE)の生産を開始した、と発表した。

◆16の工程に分かれている生産はすべて手作業
メルセデスAMGワンは、世界限定275台を生産する計画。最初の車両は、2022年内に納車される予定だ。1.6リットルV6ターボエンジンと4つの電気モーターを備えたF1ベースのハイブリッドパワートレインは、英国のメルセデスAMGのハイパフォーマンスパワートレイン部門で生産。車両の最終組み立ては、英国のコベントリーにパートナーの Multimatic と共同設立した専用の少量生産施設で行われる。

生産は、合計16の工程に分かれており、すべて手作業で行う。カーボンファイバー製モノコックや、取り外し可能なボディパネルは、一度組み立てたうえで機能性をテストし、再び分解されて、車両に取り付けられる。すべてのパーツが完全に組み合わせられた後、ドアやボンネットなどのパーツを再び分解し、手作業で塗装する。これにより、車両全体の色合いが保証されるという。

車両が完成すると、テストドライバーが確認走行を行う。承認が得られると、車両は屋根付きのトラックでドイツ・アファルターバッハのメルセデスAMGの本社に輸送される。メルセデスAMGの本社では、顧客に車両に関する技術的な説明を行ったうえで、車両の引き渡しが行われる。

◆1063hpのパワーを発揮するPHVシステム
F1マシン譲りの1.6リットルV型6気筒ガソリンターボエンジンをミッドシップに搭載する。ピストンやクランクシャフト、電装システムが専用設計となり、エンジンは1万1000rpmと非常に高回転まで回るのが特長だ。最大出力は574hp/9000rpmを発生する。この1.6リットルV型6気筒ガソリンターボエンジンに、フロント2個(163hp×2個)、ターボチャージャーとエンジンにそれぞれ1個(122hpと163hp)の合計4個のモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(PHV)とし、加速時などにエンジンのパワーをアシストする。PHVシステム全体で1063hpのパワーを引き出す。

電動ターボは発電機としても機能し、排気ガスのエネルギーを利用して、電気エネルギーを生成する。この電力は、リチウムイオンバッテリーに蓄えられるか、「MGU-K (モーター・ジェネレーター・ユニット・キネティック)」に供給される。 MGU-Kの出力は120kWで、エンジンに配置されており、スパーギアシステムを介してクランクシャフトと接続されている。これは、F1で最大の効率とパフォーマンスを実現するためのテクノロジーのひとつだ。

トランスミッションは7速「オートメーテッドマニュアル」で、駆動方式はハイブリッド駆動のリアアクスルと、トルクベクタリング付きの電動フロントアクスルを備えた4WD「AMG パフォーマンス4MATIC」だ。メルセデスAMGワンは、0~100km/h加速2.9秒、0~200km/h加速7秒、0~300km/h加速15.6秒、最高速352km/h(リミッター作動)のパフォーマンスを可能にしている。

◆EVモードの航続は最長18km
メルセデスAMGが開発したパフォーマンスハイブリッドモデル用の高性能バッテリーが採用される。メルセデスAMGペトロナスF1チームのノウハウを導入して、開発されたリチウムイオンバッテリーとなる。この高性能バッテリーは、連続して高いパワーを引き出すことができるのが特長だ。これに軽量構造を組み合わせて、車両の性能を向上させる。高いエネルギー密度を備えており、たとえば高低差の大きい山道を走行する場合、上り坂でも素早くフルパワーを引き出すことができるという。

このメルセデスAMGの高性能バッテリーは、8.4kWhの蓄電容量を備える。バッテリーの充電は、充電ステーションやウォールボックス、家庭用コンセントに、出力3.7kWの車載AC充電器を接続して行う。EVモードの航続は最長で18.1kmとした。

バッテリーセルとその配置、冷却システムには、メルセデスAMGペトロナスのF1マシンと同じ技術を使用する。リチウムイオンバッテリー、12Vの車載電気システム向けのDC/DCコンバーターは、フロントアクスル後方の車両フロアにコンパクトに搭載される。高電圧の「EQ Power +」プラグインハイブリッド(PHV)システムは、通常の400ボルトではなく800ボルトで作動する。電圧レベルが高いため、ケーブルの太さを細くでき、それに応じてスペースと重量を節約している。