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電動化加速のVW、内燃機関の開発も強化…新世代ガソリンエンジンを欧州発表

  • 《photo by VW》
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フォルクスワーゲン(Volkswagen)は7月18日、欧州向けの『Tロック』を皮切りに、新世代の直噴ガソリンターボエンジンを搭載すると発表した。燃費とCO2排出量の両方の性能を向上しているという。

◆気筒休止システムの作動領域を拡大
新エンジンは、「TSIエボ2」と呼ばれ、直噴1.5リットル直列4気筒ガソリンターボ(最大出力150ps)となる。三元触媒コンバーターとガソリンパティキュレートフィルターを、排出ガス制御モジュールに組み込んで、エンジンの近くにレイアウトした。これにより、排出ガス制御システムの効率をさらに向上させたという。

また、気筒休止の「アクティブ・シリンダー・マネジメント・システム」に、最新の「ACT plus」を採用する。4気筒のうち、2気筒での走行時の燃焼プロセスを最適化し、アクティブ・シリンダー・マネジメント・システムの作動領域を拡大させている。

ACT plusが作動すると、低中負荷領域において、2番目と3番目のシリンダーが休止する。この切り替えは、ほとんど気づかないレベルで、ACT plusによって燃費性能が向上するという。アクセルを踏み込むと、休止中のエンジンは再始動する。

◆PHVシステムとの組み合わせでは最大出力272psを可能に
TSIエボ2では、可変ジオメトリターボチャージャーに加えて、最大350バールの高圧で燃料を噴射できるシステムを搭載する。プラズマコーティングされたシリンダーの内壁は摩擦を低減し、キャストイン冷却ダクトを備えたピストンは燃焼を最適化し、効率を高めるという。

TSI エボ2エンジンは、再生可能エネルギーから製造された成分を含む燃料でも作動するように設計されている。これにより、将来の環境基準に適応できるようにした。さらに、電動化にも対応。たとえば、プラグインハイブリッド(PHV)システムとの組み合わせでは、エンジンとモーターを合わせたPHVシステム全体で、最大272psのパワーを発揮することができるという。

Tロックとオープン版の『T-ロックカブリオレ』が、新しいエンジンを搭載する最初のモデルになる。TSI エボ2は2022年内に、他のフォルクスワーゲン車にも順次拡大展開される予定だ。現在、直噴1.5リットル直列4気筒ガソリンターボ「TSI」エンジンは、『Tクロス』から『パサートヴァリアント』まで、世界中の多くのモデルに搭載されており、フォルクスワーゲンのエンジンシリーズの重要な柱になっているという。

◆内燃エンジンは電動化戦略を補完するものに位置付け
フォルクスワーゲングループは2030年までに、自動車1台あたりのCO2排出量を30%削減することを目標に掲げる。フォルクスワーゲングループは2030年までに、新車販売の70%をEVにする計画だ。2040年には、世界の主要市場の新車のほぼ100%がゼロエミッションになると予想する。遅くとも2050年までに、フォルクスワーゲングループは完全にカーボンニュートラルに移行する予定だ。

電動化を加速させているフォルクスワーゲンだが、内燃エンジンを、電動化戦略を補完するものに位置付けている。内燃エンジンの開発を止めるのではなく、さらに強化していく戦略だ。

これには2つの理由があるという。ひとつは、「ユーロ7」などの将来の世界的な排出ガス基準に対応できるようにすること。もうひとつは、充電インフラの整備が遅れている市場では、フォルクスワーゲンの内燃エンジン搭載車が依然として人気があるため、としている。