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最上級グレードが626万円のSUVを販売するマツダの「勝算」とは

  • 《写真撮影 山田清志》
  • 《写真撮影 山田清志》
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  • 《写真提供 マツダ》
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マツダが6月24日から予約受注を開始する新型SUV『CX-60』は、その最上級グレードの価格が626万4500円で思い切った値付けと言っていいだろう。果たしてCX-60はユーザーに受け入れられるのか。

プラグインハイブリッド車(PHEV)とは言え、『CX-5』や『CX-8』の最上級グレードよりもそれぞれ210万円、140万円以上も高い。また、トヨタ自動車の人気SUV『ハリアー』と比べても120万円高く、同じPHEVである三菱自動車の『アウトランダー』と比べても90万円も高いのだ。

開発主査の和田宜之氏によると、直列4気筒ガソリンエンジンと大容量バッテリー、大型モーターの組み合わせによって、日常生活のほとんどをEV走行で賄え、ドライバーが加速したいとアクセルを踏むと、高回転まで伸びる力強さを感じることができる。人馬一体フィーリングをより緻密に進化させた全く新しいタイプのPHEVとのことだ。

実はCX-5などに乗っていたユーザーが「もっと大きい」「もっとパワーのある」「もっと高級感のある」クルマを求めて他社に乗り換えるケースが増えていたのだ。この流れをなんとか止めたいという思いがマツダにあった。

しかも、日本国内のSUV市場が近年、大きく伸びていて、特に400万円以上のクルマが2017年の6.7万台から21年には15.3万台と倍以上も増えているのだ。「マツダにもチャンスがあると思うので、高価格帯にチャレンジした」と国内営業本部の二宮誠二氏は話し、CX-60の購入者の半分がCX-5などのマツダ車からの乗り換えを想定している。

高価格帯モデルは見てすぐわかるように外観も差別化を図っており、フロントグリルのデザインや塗装などが異なっている。また、音にもこだわりを持ち、「静かなモーター走行はもちろん、ドライバーが加速したいという意図を持ってアクセルを踏むと、その意図とシンクロする音を届けている」と和田氏は話し、モーターとエンジンによるコラボレーションによるドラマチックな疾走感をつくり上げたそうだ。

マツダにとって、600万円を超えるクルマは未知の領域と言っていいが、高い安全性能と環境性能に加え、どんな道でも走る歓びを味わえるCX-60は十分輸入車SUVとも戦える商品と自負している。「マツダのブランド価値経営がこれからさらに新しいステージに入っていくことを具体的に示す商品だ」と和田氏は強調していた。