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「緊急回避性能の壁をブチ破る」日産、走行中の飛び出しや飛来物も連続的に避ける新技術を発表

  • 《写真撮影 中野英幸》
  • 《写真撮影 中野英幸》
  • 《写真提供 日産自動車》
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  • 《写真提供 日産自動車》
  • 《写真提供 日産自動車》
  • 《資料提供 日産自動車》
  • 《資料提供 日産自動車》
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  • 《資料提供 日産自動車》
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  • 《写真撮影 中野英幸》
  • 《資料提供 日産自動車》
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  • 《写真撮影 中野英幸》
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日産自動車は25日、クルマの緊急回避性能を飛躍的に向上させる運転支援技術「グラウンド・トゥルース・パーセプション」技術を発表した。高性能な次世代LiDER(ライダー)技術搭載し、自動運転中の緊急回避操作をリアルタイムにおこなうことができる。日産開発者は、「緊急回避性能の壁をブチ破る技術だ」と自負する。

次世代ライダーが変化する状況を瞬時に分析、緊急回避をおこなう
日産は長期ビジョン「Nissan Ambision 2030」において、高性能な次世代ライダー技術を活用し、事故の低減に大きく貢献する車両制御技術の開発に取り組んでいる。日産は「リアルワールドでの100%の安全」そして「安心して使える自動運転の実現」に向け、現実世界で起こりうる多次元で複雑な事故を回避するための運転支援技術が必須であると考えている。

ライダーは3D空間を直接計測し、空間の構造と物体の形や位置を3Dプリンタのようにリアルタイムで正確に再現することができる。運転支援技術ではカメラやレーダーが使われるが、カメラは文字通り映像や画像から周囲の環境(車両や標識、数字など)をとらえるが、正確さやリアルタイム性に課題がある。レーダーは発する電波の反射強度によって物体との距離や速度をとらえるが、形状を検出することはできないなど、それぞれの得手不得手がある。これらと次世代ライダーを組み合わせることで、検知距離、範囲、そしてリアルタイム性を高めたのが、今回日産が発表した新技術「グラウンド・トゥルース・パーセプション」だ。変化する状況を瞬時に分析し、自動で緊急回避操作をおこなうことができる。

次世代ライダーにはルミナー社を採用。共同で技術開発を進めている。従来のライダーは解像度が低く、検出可能範囲も狭いが、この次世代ライダーは300m以上先の状況も正確に捉えることができるという。

「ProPILOT-コンセプトゼロ」による3つのデモンストレーション
グラウンド・トゥルース・パーセプションのデモンストレーション車両として報道陣に公開されたのは、『スカイライン』をベースとした「ProPILOT-コンセプトゼロ 試作車」。10か所に取り付けられたカメラ、7か所のレーダー、そして屋根に取り付けられた次世代ライダーから構成される。

この日、披露された新技術のデモンストレーションは大きく3つ。1つ目は、走行中に道路左側からクルマ(実際にはダミーのバルーン)が飛び出し、自動で右側へ回避した直後に今度は右側から歩行者が飛び出してきたのを自動ブレーキで停止するというもの。同様に、高速走行中に前方から50~60km/hで転がってくる(飛来してくる)タイヤを緊急回避し、直後に右側から飛び出してくるクルマ(脱輪した事故車の想定)の直前で自動停止するというデモもおこなわれた。現実に起こりうる、複雑で連続的な障害を瞬時に読み取り、衝突を回避した。単一の障害を回避/軽減するだけでなく、連続的な状況にも瞬時に対応可能な点がトピックだ。日産によると、技術的にはクルマが停止しない限り何度でも回避し続けることが可能だという。

2つ目は高速道路をイメージしたデモで、遠方の状況を検知し、自動で車線変更をおこなうというもの。300m以上手前から渋滞や落下物を検知し、周囲の安全を確認してからスムーズに車線変更をおこなった。落下物として用意されたのは高さ10~15cm程度の木製のパレットだったが、300m以上手前からしっかり認識し、急ブレーキをかけることもなく自然に避けて通り過ぎることができた。

3つ目は、地図が整備されていない道を、クルマの認識技術だけで自動運転するというもの。ホテル玄関前のアプローチをイメージしたエリアを、目的地点の設定のみで完全に手放し状態で走行した。車内のモニターにはライダーが周囲の壁や歩行者などを検知する様子がリアルタイムに映し出されており、かなり正確かつ立体的に周辺環境をとらえていることがわかった。

2030年までにほぼすべての新型車に搭載
日産は、今回発表したルミナー社との共同開発による技術だけでなく、精度の高いデジタル環境下での検証技術も重要と考えている。これについては先進のシミュレーション技術をもつアプライド インテュイション社と組み、様々な状況を想定した開発を加速するとした。日産はこれらの技術開発を2020年代半ばまでに完了させ、順次新型車へ搭載。2030年までにほぼすべての新型車に搭載することを目指す。