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メルセデスベンツ SL にF1電動ターボ、4気筒は約60年ぶり…AMG 43
メルセデスベンツは4月6日、メルセデスAMG『SL』のエントリーモデル「SL43」を欧州で発表した。SL43グレードには、新開発の電動ターボを組み込んだ直噴2.0リットル直列4気筒ガソリンエンジンを搭載する。
◆電動ターボはF1から生まれたテクノロジー
メルセデスAMGは電動化に向けて舵を切っており、この一部として、いくつかの効率の高いドライビングダイナミクス技術を組み合わせている。この組み合わせを最適な効果で実現するために、メルセデスAMGのエンジニアは、パフォーマンスを新しいレベルに引き上げる革新的なテクノロジーの開発に集中的に取り組んでいる。
メルセデスAMGは、新たな技術の開発を通じて電動化を推進している。その一環として、モータースポーツから得られたノウハウを取り入れている。最新の成果が、電動ターボチャージャーだ。
電動ターボチャージャーは、メルセデスAMGとターボを手がけるギャレット・モーション社との提携によって開発された。このテクノロジーは、F1から直接生まれたものだ。レスポンスに優れ、比較的低いピークパフォーマンスを実現する小型のターボチャージャーと、ターボラグがあるものの、高いピークパフォーマンスを備えた大型のターボチャージャーの間の相反する目標を解決するという。
◆約40mmのスリムな電気モーターを採用
電動ターボシステムのハイライトは、排気側のタービンホイールと外気側のコンプレッサーホイールの間のチャージャーシャフトに組み込まれている約40mmのスリムな電気モーターだ。この電気モーターは、排気ガスの流れを受け入れる前に、コンプレッサーホイールを駆動する。ターボチャージャーの電動化により、アイドリング領域からのレスポンスと、エンジン回転数全域でのレスポンスが大幅に向上するという。
既存のターボチャージャーの課題のターボラグは、電気モーターによって解消される。その結果、エンジンはアクセルペダルの入力に対して、さらに反応が良くなり、運転フィール全体が大幅にダイナミックで俊敏になるという。
さらに、ターボチャージャーの電動化により、低エンジン回転数で、より高いトルクが得られる。これにより、俊敏性が高まり、停止状態からの加速性能が向上する。ドライバーがアクセルペダルから足を離したり、ブレーキをかけたりした場合でも、電動ターボチャージャー技術によりブースト圧を維持できるため、常にダイレクトなレスポンスが可能になるという。
◆電動ターボは48Vの電気システムによって作動
電動ターボチャージャーは最大17万rpmの速度で回り、高速で空気の流れを作り出す。電動ターボチャージャーは、48Vの電気システムによって作動する。ターボチャージャー、電気モーター、パワーエレクトロニクスは、エンジンの冷却システムに接続されており、常に最適な温度環境を作り出す。メルセデスAMGによると、効率とパフォーマンスを向上させる電動ターボチャージャーが、パワートレインの電動化に向けた革新的なソリューションになるという。
SL43グレードの場合、最大出力は381hp/6750rpm、最大トルクは48.9kgm/3250~5000rpmを発生する。ベルト駆動のスタータージェネレーター「RSG」のモーターが、14hpのパワーを引き出し、加速時などにエンジンをアシストする。
トランスミッションは9速の「AMGスピードシフトMCT 9G」、駆動方式は2WD(FR)。0~100km/h加速は4.9秒で駆け抜け、最高速は275km/hに到達する。
ちなみに、長い歴史を誇るメルセデスベンツ『SL』では、1950~1960年代の『190SL』(W121型)に、直列4気筒エンジンを搭載していた。SLに4気筒エンジンが搭載されるのは約60年ぶりとなる。