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新エンジンの名は「ハリケーン」、直6ツインターボは500馬力以上…ジープに初搭載の可能性も

  • 《photo by Jeep》
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  • 《photo by Stellantis》
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ステランティス(Stellantis)は3月25日、新開発の3.0リットル直列6気筒ガソリンツインターボエンジン「ハリケーン」を発表した。

◆V8エンジンに匹敵する性能でありながら燃費は最大15%改善
ハリケーンは、排出ガスを削減し、燃費を向上させながら、よりパワフルなエンジンとなっているのが特徴だ。スムーズに回る直列6気筒エンジンに、最新のツインターボテクノロジーを組み合わせている。

ハリケーンは、大排気量エンジンよりも優れた燃費と排出ガスの削減を実現すると同時に、競合他社のエンジンよりも多くのパワーとトルクを生み出す。ハリケーンには、2つの仕様が用意されており、標準バージョンはピークブースト圧が22psiとなり、最大出力400hp以上、最大トルク62.2kgm以上を引き出す。排気ガス再循環システム(EGR)などにより、燃費性能を追求している。

高出力バージョンでは、ピークブースト圧が26psiに引き上げられ、最大出力500hp以上、最大トルク65.7kgm以上を獲得する。牽引時にも大幅な燃費の向上を実現しながら、優れたパフォーマンスも維持する、と自負する。大排気量エンジンよりも最大15%燃費を改善しつつ、V型8気筒ガソリンエンジンに匹敵する性能を実現しているという。

◆高出力と低燃費を両立させるテクノロジー
ハリケーンの基盤は、構造用アルミ製オイルパンを備えたアルミ製エンジンブロックだ。クロスボルト鋼のメインベアリングキャップには、鍛鋼クランクシャフトと鍛鋼コネクティングロッドが組み込まれる。

低慣性かつ大容量の2個のターボチャージャーが、スロットル入力に迅速に応答するために、それぞれが直6エンジンのうちの3気筒を受け持つ。また、シリンダーボアのプラズマトランスファーワイヤーアーク(PTWA)コーティングにより、薄型で低摩擦を実現している。

専用のチェーン駆動シャフトによって作動するポンプは、標準版がシングル、高出力版がデュアル。これにより、350バールの高圧での直接燃料噴射を可能にした。エンジンはDOHCで、広範囲で完全に独立した可変バルブタイミング機構を備える。エンジンの再始動を迅速に行うために、強固なスターターモーターを備えた省燃費のエンジンストップスタート(ESS)機能が付く。

専用の冷却回路を備えたチャージクーラーは、標準版がシングルインレット、高出力版がデュアルインレット。シリンダーヘッドとデュアル水冷式エキゾーストマニホールドを一体設計した。連続可変容量式のオイルポンプは、ポンプ出力をエンジンの状態に合わせて調整し、摩擦損失を減らし、燃料の節約に貢献する。ハイフローボールバルブサーモスタットは、冷却システムの制限を最小限に抑え、機械的損失を低減させている。

◆2.0リットル直4ターボエンジンと設計を共有
ハリケーンエンジンは、2350rpmからレッドゾーンまで、ピークトルクの90%以上を引き出し続ける特性とした。ワイドかつフラットなトルクバンドが力強い走りを可能にしているという。また、ハリケーンの直列6気筒は、ボア、ストローク、シリンダー間隔などの設計を、2.0リットル直列4気筒ガソリンターボエンジンと共有。北米では、この2.0リットルエンジンは、ジープ『ラングラー』、『ラングラー4xe』、『チェロキー』、『グランドチェロキー4xe』に搭載されている。

ハリケーンを搭載する最初のモデルは、「STLAラージ」または「STLAフレーム」プラットフォームを使用する車両となり、2022年内に北米市場で発売される予定だ。STLAフレームはジープの車台であることから、ジープブランド車に最初にハリケーンが搭載される可能性もある。ハリケーンエンジンは、STLAラージとSTLAフレームプラットフォームを使用する北米向け車両の主要な内燃エンジンに位置付けられる。メキシコのステランティスのエンジン工場で組み立てられる予定だ。

ステランティスは2030年までに、米国新車販売の50%をEVとし、米国の電動化のリーダーになることを目指している。その一方、内燃エンジンも今後数年間、ラインナップで重要な役割を果たすと予想している。ステランティスは、ハリケーンは妥協のないエンジンであり、パフォーマンスを諦めることなく燃費を向上させ、温室効果ガスを大幅に削減する、としている。