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1000馬力のアストンマーティン、初走行…サーキット専用の『ヴァルキリー』

  • 《photo by Aston Martin》
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アストンマーティンは3月21日、『ヴァルキリーAMRプロ』(Aston Martin Valkyrie AMR Pro)がF1バーレーングランプリ開催地のバーレーン・インターナショナル・サーキットにおいて、一般向けに初走行を披露した、と発表した。ディルク・ミューラー選手がデモ走行させている。

◆ルマンに参戦するマシンを上回る性能
アストンマーティンのハイパーカー『ヴァルキリー』のさらなる高性能バージョンが、ヴァルキリーAMR プロだ。公道走行できないサーキット専用車であり、レースへの参戦も想定していない。そのため、レギュレーションやロードユースにおける制約から離れ、究極のパフォーマンスを追求することが可能になったという。

アストンマーティン、エイドリアン・ニューウェイ、レッドブル・アドバンスド・テクノロジーズ(RBAT)、エンジニアリングパートナーのマルチマティックは2019年、ルマン24時間耐久レースに導入されたハイパーカークラスでの勝利を目標として、ヴァルキリーのレース仕様車の開発をスタートした。これが、ヴァルキリーAMRプロの出発点だ。

アストンマーティンは2018年春、ジュネーブモーターショー2018において、ヴァルキリーのサーキット仕様車を提案するコンセプトカーを初公開した。このコンセプトカーは、ヴァルキリーのプラットフォームから、パフォーマンスを最大限に引き出すことを目標にしていた。ヴァルキリーAMRプロには、サーキット走行向けに最適化されたシャシー、エアロダイナミクス、パワートレインの開発におけるノウハウがフィードバックされている。さらにレースのレギュレーションから解放されたので、ルマンに参戦するマシンを上回る性能も備えているという。

◆公道仕様のヴァルキリーのハイブリッドシステムを省略
ヴァルキリーAMRプロのシャシーは、ヴァルキリーに対して、ホイールベースが380mm延長され、トレッドはフロントが96mm、リアが115mm拡大された。アグレッシブな空力パッケージを装着したため、全長も266mm延長された。公道仕様のヴァルキリーの2倍のダウンフォースを発生し、3Gを超える横方向加速度を実現した、と自負する。空力特性の効率は、ルマンのハイパーカークラスのレギュレーションを超えているという。

ヴァルキリーの公道仕様は、パワートレインにハイブリッドを採用する。一方、ヴァルキリーAMRプロのパワートレインはハイブリッドシステムを持たない内燃機関だ。エンジンはコスワース製の6.5リットル V型12気筒ガソリン自然吸気エンジン。レッドゾーンが1万1000rpmに設定され、最大出力1000hpを引き出す。

軽量化に関しては、ハイブリッドシステムを省略したことに加えて、カーボンファイバー製ボディ、カーボンファイバー製ウィッシュボーンサスペンション、Perspex製のフロントとサイドウィンドウを採用している。これらにより、ヴァルキリーAMR プロにはF1マシンに近いサーキットでのパフォーマンスが見込まれている。

◆世界限定40台を生産する予定
ヴァルキリーAMRプロは、世界限定40台を生産する予定だ。顧客は、FIA公認サーキットでアストンマーティンが主催するサーキットデイに参加できる。ヤス・マリーナ、シルバーストン、ニュルブルクリンク、富士スピードウェイ、サーキット・オブ・ジ・アメリカズでの開催が予定されている。

アストンマーティンの開発ドライバーを務めるディルク・ミューラー選手は、「この車は別モノ。これまでに運転したどの車よりも、パフォーマンスの点でF1マシンに近い。パワー、ハンドリング、グリップ、すべてが完璧」とコメントしている。