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マツダ MX-30 に手動運転装置…開発責任者「家族と同じクルマで遠くへ」

  • 《写真提供 マツダ》
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マツダは12月9日、電気自動車(EV)などの『MX-30』シリーズに、足の不自由な人が手動運転装置でドライブを楽しめる「Self-empowerment Driving Vehicle(セルフ エンパワーメント ドライビング ビークル)」(SeDV)を設定したと発表した。

同日に予約受注を始め、2022年1月以降に発売を予定している。ガソリン車を含むすべてのMX-30に対応する。通常の足を使った運転も選択できるようにしており、障がいをもつ人が、家族や友人と交代しながらのドライブも可能になる。

この運転システムは、手で直感的に加減速を行う「アクセルリング」と、「レバーブレーキ」を採用しており、操作に素早く慣れることができるよう、ドライバーの意図に応じた滑らかな挙動の実現を目指したという。丸い構造のアクセルリングは、ハンドルの内周に取り付けられている。

また、左手で操作するレバーブレーキには肘を置く「ブレーキサポートボード」があり、肘を支点に安全な操作ができるようにしている。さらに、スムーズな乗降を支援する「移乗ボード」を用意した。乗車後は、MX-30の観音開きのドア構造を生かし、ドライバーが車いすを後部座席に置くことも想定している。

購入に際してはウェブサイトを通じ、最寄りの販売店や関連用品メーカーも加え、専門知識を備えたスタッフがオンラインで、最適な仕様を提案していく。装置の価格(消費税は非課税)は、アクセルリング、レバーブレーキ、ブレーキサポートボード、移乗ボードのセットと取り付け費を含んで52万8000円。いわゆる福祉車両なので、国や自治体による減税や助成措置があり、それを勘案すると「通常の車両と同等で購入できるよう価格設定した」(国内営業本部ブランド推進部)という。

開発責任者である商品本部の前田多朗主査は、オンラインの発表会で「MX-30は『私らしく生きる』を開発テーマにしている。SeDVには、ご自分の意志で移動されたい方に寄り添い、その想いを実現していただきたいと願いを込めている。より遠くへ、友だちや家族と運転を代わりながら、同じクルマで行っていただきたい」と、商品化への想いを語った。