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DS 7クロスバック を200mmロング化、仏大統領の新しい公用車に…PHV搭載
DSブランドは11月11日、フランス大統領の新しい公用車として、『DS 7クロスバック・エリゼ』(DS 7 CROSSBACK ELYSEE)を納車した、と発表した。
モデル名の「エリゼ」は、フランス・パリのエリゼ宮殿に由来する。エリゼ宮殿は、フランス大統領の官邸として使用されている。
◆DSの大統領専用車の歴史は1968年から
DSブランドは、フランスの第五共和制の発足以来、数々の政治的なシーンで象徴的な役割を果たしてきた。フランスの大統領は1955年から、シトロエン『トラクシオン・アヴァン』をベースに、フラネイが架装したリムジンを公用車に使用してきた。これに代わって1968年11月14日、『DSプレジデンシャル』がエリゼ宮殿に納入された。
DSプレジデンシャルは、シトロエン『DS』をベースに、アンリ・シャプロンが手がけたモデルで、全長は6530mm。この全長は、その当時アメリカ大統領が使用していたリンカーンよりも、長くすることが要求されて実現したという。豪華な装備や、分離ウィンドウ、ブラウンの革張りシート、通訳用の折り畳み式シート、電動ウィンドウ、エアコン、直接と間接の照明、インターフォン、ミニバーを備えていた。
ここ数年では、『DS 5』と『DS 7クロスバック』が、フランスの歴代大統領に、公用車として納入された。2017年5月、エマニュエル・マクロン大統領の就任パレードには、DS 7クロスバックが起用された。DS 7クロスバックの大統領専用車は、ボディを「ブルー・アンクル」で塗装。パレードを行う大統領専用車ならではのオープンルーフ機構を備え、ボンネットにはフランス共和国を象徴するバッジ、フロントフェンダーには国旗ホルダーが装着されていた。足元には、ゴールドの装飾が特徴の 20 インチホイールを装着。黒を基調としたインテリアは、フランスの 「Atelier Maury」による特別仕立てとしていた。
◆移動執務空間の後席は独立2座席
新しい大統領専用車に起用されたDS 7クロスバック・エリゼは、Bピラーから後方を200mm延ばして、移動執務空間とした。後席のレッグルームは545mmを確保している。リアのベンチシートは、独立した2座席に置き換えられた。シートはバサルトブラックのレザーで、DSならではのウォッチストラップデザインを採用した。専用のアルカンターラヘッドライニングを装備し、後席の間にはエルボーレストが配された。ワイヤレス充電器とUSBポート、文書ホルダーが追加されている。
青と赤の点滅ライト、脱着式の国旗ホルダー、ボンネットやフロントドア、リアの「RF」エンブレム、専用の20インチホイールとシャークフィンアンテナも採用された。特別な通信システムも導入された。防弾装甲仕様車となっている。
ボディサイズは全長4790mm、全幅1910mm、全高1620mm、ホイールベース2940mm。全長とホイールベースは200mm延ばされている。ボディはインクブルーで塗装された。
◆PHVパワートレインは最大出力300hp
DS 7クロスバック・エリゼは、プラグインハイブリッド車(PHV)の『DS 7クロスバックE-TENSE』の上位モデル、「DS 7クロスバックE-TENSE 4×4」をベースにしている。PHVパワートレインのエンジンは、直噴1.6リットル直列4気筒ガソリンターボ「PureTech」だ。最大出力は200hp、最大トルクは30.6kgmを発生する。
モーターは、フロントが最大出力110hp、リアが最大出力112hpを引き出す。フロントのモーターは8速ATの「EAT8」と一体設計された。エンジンとモーターを合わせたPHVシステム全体で、300hpのパワーと53kgmのトルクを発揮し、4輪を駆動する。
バッテリーは、蓄電容量13.2kWhのリチウムイオンだ。EVモードの「ゼロエミッションモード」では、ベース車両では最大58kmをゼロエミッション走行できる。この効果もあって、燃費は76.9km/リットル、CO2排出量は30g/km(いずれもWLTP計測)と優れた環境性能を可能にした。
また、ゼロエミッションモードの最高速は、135km/hだ。走行モードは、ゼロエミッションモード、スポーツモード、ハイブリッドモード、4WDモードの4種類から選択できる。バッテリーの充電は、専用の32Aコンセントで、およそ2時間で完了する。