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アストンマーティンの1155馬力ハイブリッドカー…一号車が完成
アストンマーティンは11月4日、新型ハイパーカーの『ヴァルキリー』(Aston Martin Valkyrie)の量産第一号車が完成した、と発表した。間もなく、最初の顧客に納車される予定だ。
すべてのアストンマーティンのスポーツカーと同様に、ヴァルキリーは英国ゲイドンの本社工場で製造されている。専任のプロジェクトチームが、ヴァルキリーの特別な生産エリアで、組み立て工程を管理している。高度なスキルを備えたエンジニアが、世界限定150台のヴァルキリーのクーペを手作業で生産しており、1台が完成するまでに、2000時間以上かかるという。
また、完成したヴァルキリーは出荷前に、ハイパーカーの開発が行われている英国シルバーストンのアストンマーティンの施設において、サーキットテストが行われる。
◆0-96km/h加速は2.5秒以下
ヴァルキリーには、軽量構造のミッドシップ2シーターのボディに、新設計の6.5リットルV型12気筒ガソリン自然吸気エンジンを搭載する。アストンマーティンとレッドブルレーシングのテクニカルパートナーシップによる成果として共同開発され、アストンマーティン特有のスポーツカーデザインと、レッドブルレーシングが持つ最先端のF1技術を融合させた1台となる。
ヴァルキリーのエンジンは、コスワースが開発を手がけた。モータースポーツ向けエンジンで豊富なノウハウを持つコスワースの最新技術が、ヴァルキリーのエンジン開発に注がれている。ヴァルキリーのハイブリッドパワートレインのスペックは、6.5リットルV型12気筒ガソリン自然吸気エンジンが、最大出力1000hp/10500rpm、最大トルク75.5kgm/7000rpmを引き出す。
このエンジンに、モーターの最大出力160hp、最大トルク28.6kgmが加わる。モーターは、インタグラルパワートレイン社、軽量ハイブリッドバッテリーシステムはリマックが開発した。F1マシンのような「KERS」スタイルのブーストシステムとなる。エンジンとモーターを合わせたハイブリッドパワートレイン全体では、1155psのパワーと91.8kgmのトルクを獲得する。0~96km/h加速は2.5秒以下となる。
◆追加の空力デバイスなしで高レベルのダウンフォースを獲得
このV12エンジンは、シャシーの一部として機能するための剛性を備えている。ヴァルキリーはエンジンを取り外すと、前輪と後輪を接続するコンポーネントがなくなるのが特長だ。
ヴァルキリーでは、ティアドロップ(水滴)型をしたコックピット上面と、丸みを帯びたサイドパネルが、コクピットフロアの両側を走る巨大なベンチュリトンネルを包み込むように輪郭を形成している。これらのトンネルは、大量のエアをボディの下側に取り込んでリアのディフューザーへ送る役割を果たす。これにより、ボディにスタイリングを犠牲にするような追加の空力デバイス取り付けることなく、高いレベルのダウンフォースを生み出すことに成功しているという。
室内スペースを最大限確保するため、シートは直接フロアに取り付けられた。乗員は、F1やルマン・プロトタイプのレースカーのように、身体を傾斜させて足を持ち上げたシートポジションを取る。結果としてドライバーと助手席乗員は、車両との一体感が味わえる設計とした。シートベルトは、4点式を標準装備する。サーキット走行を行う顧客のために、6点式シートベルトもオプションで設定されている。
◆ドアミラーのカメラによる映像をAピラー下のディスプレイに表示
フルデジタルのコックピットを採用する。すべての操作スイッチをステアリングホイールに集約して、LEDスクリーンに運転に必要な情報を表示する。ステアリングホイールは着脱が可能な設計になっており、ドライバーの乗り降りを容易にするとともに、盗難防止にも役立つという。
また、ヴァルキリーはドアミラーを廃止し、ボディの両側にリア方向を映し出すカメラを設置するミラーレス車となる。カメラが捉えた映像は、左右のAピラーの下に設置されたディスプレイに表示される。ヴァルキリーは、全体を包み込むような車体デザインとルーフに設置されたエアインテークにより、リアウインドウが存在しない。そのため、室内にはルームミラーも装備されていない。