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遠く離れた場所で自動運転車を監視する 損保ジャパン日本興亜が実証実験を公開
損保ジャパン日本興亜は11月17日、自動運転車がトラブルに巻き込まれた際のサービスを研究するため、豊橋総合動植物公園(愛知県豊橋市)で行われた遠隔型自動運転の実証実験に参加。現地から約230km離れた都内ににあるコネクテッドサポートセンターから対応したデモを公開した。
◆世界初! 2台の自動運転車が同時に走行する
この実証実験は愛知県をはじめ、アイサンテクノロジー、KDDI、ティアフォー、名古屋大学が共同で参画し、豊橋市の協力の下で実施された。世界で初めて2台の自動運転車を同時に走行させる他、運転席には人が乗らず、車両から離れた場所から監視する。実験で使うコースは公園内の約1.5kmほどの距離。この日は、愛知県の大村秀章知事、豊橋市の佐原光一市長が来賓として参加し、周囲に障害物があった場合などで想定通り停止できるかなどを検証した。
実証実験の期間は11月19~21日の3日間。一般参加モニターも参加して行われるが、申し込みは既に締め切られている。
今回のデモで使われた車両は、自動運転車の開発を行なうティアフォーが製作した自動運転EV『Milee』(マイリー)と、アイサンテクノロジーがトヨタ『エスティマ』をベースに開発した自動運転車の2台。中でもマイリーはヤマハ製ゴルフカートをベースとし、運転席やハンドルなどがない。そのため、現状では公道を走行することはできない仕様となっている。
あらかじめ実験のために用意されたシナリオは、大村知事と佐原市長がマイリーに乗車し、先行走行する自動運転エスティマが障害物によって緊急停止、後続するマイリーもこの状況を検知して同時停止する中で、オペレータの呼びかけによって見守りを行っていくというものだ。自動運転車利用者は乗車中にトラブルが発生した場合、どう対応すればいいか分からず不安になるという状況を解消し、自動運転の社会的受容性を高めることを目的とする。
◆自動運転走行中のトラブルによる利用者の不安を解消する
しかし、この日は実験がスタートする直前になって、サポートセンターに届いていたマイリーの映像と音声がストップするという予期せぬ事態が発生。オペレーターは状況確認が一切できない状態となってしまった。そのため、大村知事と佐原市長はマイリーに乗車して自動運転車の実証実験を体験するのみとなり、その様子は先行して走るエスティマから捉えた映像で確認することができた。
一周を走り終えた後、スタッフが原因究明を尽くした結果、内容を分かりやすくするために接続したモニターとPCの数が多過ぎてサーバー側で処理し切れなくなっていたことが判明。モニター表示に使うPCの運用を減らし、サーバーを再起動することで動作は通常状態に復帰。佐原市長がもう一度マイリーに乗り込んでデモが再スタートした。
2回目の周回では、2台の自動運転車が走行する中、しばらくしてシナリオ通りにエスティマが緊急停止し、マイリーもほぼ同時に走行を停止した。この様子を見たサポートセンターのオペレータがまずは車内へ状況確認のための呼びかけを実施。続いて前方に障害物をを発見したため緊に急停止したとその原因を知らせ、異常がないことを確認して再び自動運転走行へと移って実験は終了した。
◆通信にはLTEを使用、将来的には5Gの利用も想定
今回の実証実験で使われた通信は、広く普及しているLTEを使用。この日の実験では音声や映像での遅延や途切れなども発生したが、損保ジャパン日本興亜によれば、それは動植物園内に基地局が切り替わるポイントががあったためで、音声のサポートを行うという観点ではLTEでも十分なクォリティが発揮できるとする。とはいえ、将来的には次世代通信規格5Gの利用も想定しており、その際は通信速度の向上だけでなく、人命に関わるようなプライオリティ度の高い通信を優先することが可能となる。
同公園では将来的な園内移動の手段に自動運転技術の活用することを目標にしており、今回の実験を踏まえて様々な角度から導入の可能性を検討することにしている。愛知県の計画では、今年度は測量ソフト開発のアイサンテクノロジーなど8社1大学に委託しており、豊橋市の他、今後は一宮市と常滑市で同様な実証実験を行う。中でも一宮市での実証実験では、5Gを活用する予定になっている。