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未来の駐車システム「自動バレーパーキング」実証実験、JARIが東京・台場で開催

日本自動車研究所(JARI)は11月14~15日、今後の自動運転実現 に向けた活用ケースとして開発を進めてきた「自動バレーバーキング機能実証実験」をデックス東京ビーチ(東京都港区)駐車場で実施する。13日にその模様を報道陣に公開した。

バレーパーキングとは、商業施設などで、車を係員に預けて駐車場との間を回送してもらうサービスだ。これを自動=無人運転でやろうという実証実験。

◆もっとも実現性が高い自動運転「自動バレーパーキング」

自動運転は現在、官民を挙げて2020年代後半にレベル3以上を目指して開発が進められている。しかし、JARIの言葉を借りれば、その実現に向けては技術の醸成だけでなく、ルールの整備やビジネスモデルの成立など様々な課題を解決する必要がある。

そうした中、自動バレーパーキングは「限定空間・限定活用」での運用が可能なケースとして位置付けられる。つまり、自動バレーパーキングはもっとも実現性が高い自動運転として注目されている分野でもあるというわけだ。

JARIでは、2016年より経済産業省・国土交通省からの委託事業として「一般車両による自動バレーパーキングシステムの社会実装に向けた実証」を担当、官民で開発を進めてきた。今回の実証実験は「Future Area」として実施され、自動バレーパーキングの可能性を広く一般に知ってもらうと同時に、市場ニーズの喚起を図ることを目的とする。実用化の目標としては、JARIによれば2021年頃を想定しているという。

この日の自動バレーパーキング実証実験に参加したのはトヨタ自動車、アイシン精機、三菱電機の3社。実証実験は、「車両」「管制センター」「駐車場インフラ」の3者がお互いに連動し機能分担して実現する形となっており、歩行者や一般車両が立ち入らない限定空間の駐車場との想定で自動運転が実施された。また、デモ会場には降雨時でも影響のが出ないよう、デックス東京ビーチの屋内駐車場が選ばれている。

実証実験ではドライバーが目的を設定する際に自動バレーパーキング駐車場を予約し、最も便利な施設の入口付近などで降車(乗車)すると想定したところから始まる。各車両は管制センターと通信(この日はLTE)で結ばれており、ドライバーから自動バレーパーキングの利用をリクエストされると駐車場内の地図と駐車位置がまず配信される。車両はその情報に基づいて自動的に入出庫する流れだ。途中で他の駐車エリアから合流車両が現れるが、それらは管制センターの指示の下で互いに協調しながら安全に走行。無事に車寄せへと車両が到着し、一連のデモは終了する。

◆既存技術を活用することで、いち早い実用化を目指す

自動バレーパーキングシステムは、車両と駐車場が協調する方式と、車両が自ら空きスペースを探して駐車する自律方式などが考えられるが、JARIが想定しているのは前者の方式。

これについて実証実験に参加したアイシン精機 走行安全商品本部の田中 優氏は、「自律方式では、駐車場内でトラブルが発生した際に車両のコントロールが効かず、動きが取れなくなる可能性が大きい。車両と駐車場が協調すれば空きスペースの効率的な配分も可能になり、メリットは大きい。JARIでも普及までのシナリオとして、この形をより進化したSTEP3に設定している」と話す。

また、今回の実証実験で使われた車両に搭載されていたのは、既に開発が進んでいる、画像認識のためのカメラや周囲をセンシングする超音波センサーのみ。あとは管制センターと通信をするためにコネクテッド系の装備が追加されているだけだ。これについて田中氏は「既に実用化されている技術を使うことで、いち早い自動バレーパーキングシステムの実用化を目指しているのも大きなポイント」と語った。

会場には他にも「Today/Tomorrow Area」として、一部の車両に搭載が始まった最新の駐車システム(車内から操作)と、リモートパーキングシステム(車外から操作)のデモも行う。車内からの操作する日産『リーフ』の例では、実際に同乗体験することができる。さらに、現在、駐車場が抱える課題の提示や、今後提供が予想される駐車場関連サービスの紹介を行う「Parking Area」も用意されている。