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ライオンエクスペリエンス2021、プジョー体感イベント…新型 308 や 508PSE を先行展示
グループPSAジャパンは、プジョーの体感イベント、プジョーライオンエクスペリエンス2021を9月2日から5日までの東京六本木ヒルズを皮切りに、名古屋(9月11~12日、JRゲートタワーイベントスペース)、大阪(9月18~19日、グランフロント大阪ナレッジプラザ)で開催する。いずれの会場にも日本初公開となる新型『308』と『508PSE』も展示される。
◆ステランティスの中でも好調なプジョー
FCAジャパンとともに、グループPSAジャパンも率いることになった、ポンタス・ヘグストロム氏は、開催の挨拶において、「個性的なキャラクターを持ち、いずれ劣らぬクリエイティブさと長い歴史を誇る7つのブランドを、300を超えるディーラーネットワークの方々とともに率いていくことに、とてもワクワクしている」とコメント。
ステランティスの7ブランドは、今年の1月から7月までの累計で2万8000台を超える台数を販売。対前年比でプラス42%の成長を記録している。これは、「純輸入車の2倍以上の成長率であり、乗用車市場全体と比較すれば4倍の成長率だ」と好調さをアピールする。
特にプジョーは、「日本におけるステランティスのポートフォリオの中で最もよく売れているブランドだ」とポンタス氏。プジョーは今年、ジープを凌ぐ8,525台を販売し、7月までの累計で前年比プラス67%と、純輸入車市場と比較して3.5倍の成長率である。
◆新ロゴもライオンで
さて、プジョーは新しいブランドロゴを採用。今回のイベントはそのお披露目の場でもある。
1850年以来、プジョーは10個のロゴの変遷を経ているが、そのすべてがライオンの意匠だ。このロゴは、「新しい時代、新しいニーズ、新しいトレンドに適応し続けるプジョーブランドの進化を象徴している」とポンタス氏。2010年から使っていた先代のロゴは、「ブランドの上級市場への移行を体現すべく、変更する必要があった」と当時の変更のいきさつを振り返る。そして、「過去10年間で、プジョーはモデルラインナップを完全に見直し、それらの最新の製品と歩調を合わせるべく今回ロゴを再設計した。なぜなら、プジョーは時代の息吹を反映しているブランドだからだ」という。
そして今回の11番目となるロゴは、「スッキリと、高品質で、よりエレガントになった。この新しいロゴは、プジョーのグローバルなブランドデザインスタジオであるプジョーデザインラボによって作成。新しいロゴは、意気軒高なライオンの頭を飾った紋章だ」といい、「新しいロゴは、過去のプジョー、現在のプジョー、そして未来のプジョーを体現している。ライオンをかたどったこの新しい紋章は、これまで同様にブランドの一部となっている。この紋章と新しいビジュアル・アイデンティティによって、プジョーは常にモダンであり続けるために、もっというならば“ハイパーモダン”であり続けるために、自らを再構築している」と新しいロゴに込めた期待を語る。
グループPSAジャパンマーケティング部プジョーブランドマネージャーの志水弘樹氏によると、「成長の肝になるのは、個性ある各モデルがブランドを牽引したことにある。その一方、自動車業界を取り巻く環境は、電動化への対応、急速なデジタル技術の発展や浸透、異業種の参入や新しいビジネスモデルの台頭など、価値提供の範囲がこれまでの枠組みを超えて広がってきている。このような時代でプジョーがブランドとして生き残っていくためには、商品力だけではなく、ブランド力を磨いていくことが必要であると考え、ブランディングの新しいステージを模索していくことになった」と今回のロゴ変更に至る背景を説明。
そこでプジョーは起源に立ち返った。プジョーの創設者アルマン・プジョーは、好奇心旺盛で先見の銘があり、1889年のパリ博覧会で蒸気機関を搭載したプジョー初となる自動車、『タイプ1』を発表。その後ガソリンエンジンを搭載した『タイプ3』を開発し、量産化に成功した。このアルマン・プジョーの、「独創的で創意工夫に満ちたパッションと主体的な思考が、プジョーのDNAであり、このような変化に満ちた環境下で必要とされる姿勢であると考えた」という。そしてプジョーは、「お客様に対して品質感のある商品や体験を適切な価格で提供しながら、どこかプジョーらしいユニークでセンスの光った付加価値を提供していく存在として、”インベンティブハイエンドジェネラリスト”というワードのもと、ブランドとしての立ち位置を再定義した」と話す。
当然のことながらロゴの変更だけにとどまらず、プジョーの新しいブランド・アイデンティティが店舗も含め数多くの要素に組み込まれている。キーカラーが紺色から黒に変更され、書体も刷新。「この新たな空間コンセプトは、プジョーディーラーの“NEW LION EXPERIENCE”として、今後、全国で77店舗を数えるディーラーに展開されていく予定だ」とポンタス氏は述べた。
ポンタス氏はプジョーのブランドCEOであるリンダ・ジャクソンのコメントを次のように引用する。「プジョーは、お客様との関係性を刷新しようとしている。それは、プジョーと共に過ごす時間を質の高い時間に変えることだ。目まぐるしく変化する時代にあって、“時間”は最も希少で最も貴重な資産といえる。プジョーはその全てが質の高い体験、といえるものを提供していく」と述べ、プジョーの方向性を定義づけた。
◆508PSEはモータースポーツ参戦を背景に展示
今回のイベントでは、モータースポーツの発表もあった。グループPSAジャパンマーケティング・ダイレクターのトマ・ビルコ氏は、「プジョーはモータースポーツにも長い歴史がある。近年では1980年代にはラリー、1990年代にはF1、2000年のWRCや耐久レースに参戦していた」と紹介。
そして、2022年、プジョーはWEC、世界耐久選手権に『9X8』で参戦する。「プジョーのネオパフォーマンスハイブリッドカーで900馬力のハイパワーを搭載。これまでの30年に渡るモータースポーツの経験、そしてプジョーの技術を結集して開発したレーシングカーだ」と紹介し、2022年のルマン世界耐久選手権に参戦予定のほかに、10月の富士スピードウェイにて開催される6時間耐久にも参戦する予定だ」とのことだ。
今回、508PSEを展示したのは、こういったモータースポーツ参戦を受けてのことで、「この508はそれらの長い歴史を受け継ぐアイコンだ。360馬力、520Nmのハイパワープラグインハイブリッドエンジンの効果で0-100km/h加速は5.2秒」とそのハイパフォーマンス性を強調。前後にモーターを搭載した、四輪駆動のプラグインハイブリッドでありながら、WLTPプロトコルで1キロメートルあたり46グラムというCO2低排出量となっている。
◆低く長くなった308
今回展示されたもう1台は、来年導入が予定されている308だ。グループPSAジャパンマーケティング部商品企画グループプジョープロダクトマネージャーの上村学氏は、「ハッチバックというと、ともするとSUVブームの中、あまり期待できないのではないかという感想もあるだろう。しかし、プジョーの販売台数の中で、308シリーズはクリーンディーゼルの投入や様々な商品改良を経て、プジョー全体の20から30%、時に40%に迫る高い販売比率と大きな役割を担ってきた」と述べ、「新しいライオンのエンブレムを冠する最初のモデルであるという点もプジョーからの高い期待値の表れといえる」とグローバルはもちろん、日本国内においても大きなピラーになるクルマであるという。
新型308の魅力のひとつ目は「デザインだ」と上村氏。「強烈なインパクトを持つ308のデザインを見ると、官能的で、シャープで、高級で、そしてダイナミックと様々な言葉が思い浮かぶ」という。なによりもその存在感は、「ハッチバックの中だけではなく、例えSUVの集団の中にいても最も注目を惹きつけるのではないか」とのこと。
大型のフロントグリルの中心には新しいプジョーエンブレムが配された。「このエンブレムに向かって収束するかのようなグリルパターンによって、存在が強調され、そのエンブレムにはADASのレーダー波を阻害しない素材を使用。エンブレムの後ろにADASのレーダーを設置し、そのためナンバープレートの位置を一番下に下げ、フロントのデザインに貢献している」と説明。
サイドから見ると、「延長されたボディとホイールベース、伸びやかなシルエットを生み出し、後席のスペースも広く確保」。また、「若干低められた車高と滑らかなラインのノーズの組み合わせは、ボンネットを視覚的に長く見せ、ハッチバックでは見られないようなエレガントかつスポーツな部分を作り出している」という。また、「シンプルで滑らかな部分と、フロントとリアのフェンダーの張り出しによって、躍動的で力強いキャラクターを表現している」と述べる。
308ハッチバックのボディサイズは、現行と比較し、全長は105mm延長、フロントウィンドウは約100mm後ろにセットされた。全高は20mm低くなり、「ロングノーズのシルエットを強調。ホイールベースも55mm延長されたことで、リアのレッグスペースは約30mm拡大。全幅は1850mmだ(いずれも認証前の数値)。
ハッチバックから少し遅れてステーションワゴンの308SWも導入予定だ。「現行の308でも約40%の販売比率があるSWは、新型にとっても重要なモデル」と上村氏。そのデザインは、「ハッチバックをストレッチしたような平凡なものではなく、ダイナミックで彫りの深い専用リアデザイン。空力を追求したセカンドスポイラーなど、さらに個性的でパーソナリティーを強調している」という。
サイズは、全長はプラス280mm、ホイールベースもプラス57mm伸ばされ、「ボディの延長はラゲッジルームの拡大に主に貢献している」と述べる。積載量は、通常使用時で608リットルだ。
◆インテリアも刷新、OKプジョーも
308はそのデザインとともに、ニュープジョーアイコックピットとプジョーアイコネクトと呼ばれるプジョー最新のインフォテインメントシステムも大きな特徴として挙げられる。
プジョーアイコックピットは、「ブランドDNAそのもの。世代が移り変わり、機能が強化され、モダンナイズされた。人間工学、品質、デザイン、そして新しいインフォテインメントシステム、プジョーアイコネクトにおいて大きな進化を遂げている」と話す。小径ステイアリングの中央には新しいライオンが配され、パッドの左側にはADAS系のスイッチ、右側にはボイスコントロールやメディアの操作系スイッチが置かれた。
また、ステアリングの上から視認するデジタルヘッドアップディスプレイ、メータークラスターには、10インチのデジタルパネルが搭載され、GTグレードは3D表示となる。
センターコンソールには新しいオートマチックセレクターも採用され、「コンパクトでモダン、省スペースにより、操作性とシフト周りのコンソールを美しく機能的に作り変えた」とのことだ。
センターに置かれた10インチに大型化されたタッチスクリーンの下側には、“アイトグル”と呼ばれるデジタルショートカットスイッチを搭載。これは、「10インチのタッチスクリーンの下に開かれた本のようにセットされ、独自のデザインと実用性を提供。エアコン、電話、オーディオ、アプリケーション、ADASなどドライバーの好きなショートカットメニューを設定し、自由に変更することができる」というものだ。
そして、アイコネクトには大きく3つの特徴と機能がある。まず、UXコックピットと呼ぶユーザーエクスペリエンスにフォーカスした機能では、「スマホやタブレットに近い使用環境を作るもの」。次に、「マルチタスクパーソナライズは、デジタルメーター、タッチスクリーン、アイトグルのすべてをドライバーの好みでカスタマイズしてプロファイルすることができること」。そして3つ目は、「コネクティビティとボイスコントロール機能で、上級グレードはコネクテッドナビの装備や、“OKプジョー”から始まるボイスコントロール機能も搭載している」と充実した装備を紹介。
安全装備、ADASも、約70メートル離れた後方の車両を検知するブラインドスポットモニターロングレンジや、リアクロストラフィックアラート、ドライバーの運転状況を検知するハンズオフディテクションや、4つのカメラで前後左右、俯瞰映像をクリアに捉える360度ビジョンなどが搭載される。
さらにプジョー初のマトリクスLEDヘッドライトは、約7cmの超薄型で、デザインだけでなく、様々な使用シーンにLEDモジュールが自動的に照度や角度を微調整しドライビングをサポートする機能を備えている。
予定されているパワートレインについて上村氏は、「パワートレイン戦略、パワーオブチョイスを踏まえ、3つのパワートレインを用意。どれもドライビングプレジャーと環境性能を両立した自慢のパワーソースだ」という。主にエントリーグレードに搭載する1.2リットルピュアテックガソリンエンジン。70%近い高い販売比率を誇る1.5リットルクリーンディーゼルエンジン。そして新しく採用する1.6リットルガソリンをベースにしたプラグインハイブリッドだ。全て8速オートマチックとの組み合わせとなり、「全モデルエコカー減税取得をするべく最終調整中だ」と説明した。
最後に導入の大まかなスケジュールだが、上村氏によると、「ハッチバックは来年の第1四半期、SWは2四半期以降の発表、順次導入を予定している」とのことだった。