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選手村で接触事故のトヨタ『e-Palette』、手動で運行再開へ[新聞ウォッチ]

  • 《Photo by Jinhee Lee/SOPA Images/LightRocket via Getty Images/ゲッティイメージズ》
  • 《写真撮影 雪岡直樹》
  • 《写真撮影 平原克彦》

東京2020パラリンピックの選手村で、視覚障害の柔道に出場する予定だった北園新光選手が、自動運転中の巡回バスに接触し、頭と両足に全治2週間の軽傷を負った事故で、車両を開発したトヨタ自動車は、一部の運転を手動に切り替えるなどの安全対策を講じたうえで運行を再開するという。

接触する事故を起こしたのは、選手村で選手や大会関係者の移動に使われているトヨタ自動車の自動運転の電気自動車『e-Palette』。トヨタは事故のあと、車の運行を中止したが、8月31日午後3時から運行を再開することを大会の組織委員会が決定し、発表した。

きょうの朝日などが社会面で報じているが、それによると、安全対策として車の加速や減速、停止をする際には、自動運転ではなく担当者の手動運転に切り替えるほか、車が接近する際の「通報音」の音量をこれまでより2~3倍に上げるという。

さらに、車内には運行の担当者以外にも安全を目視で確認する搭乗員を1人乗せるほか、交差点に配置する誘導員を6人から20人に増やすなどとしている。

東京五輪・パラリンピックの選手村における今回の接触事故は、車両の不具合よりも人為的な判断ミスとの見方もあるが、アスリートの「安全・安心」を最優先に掲げていたトヨタにとってまさかの “失点”と言わざるを得ない。

それよりも、トヨタがモビリティカンパニーに変身する中で、自動運転などの次世代技術は大きな目玉のひとつ。問題点を洗い直して素早い“カイゼン”もトヨタのお家芸だが、接近音量を上げる対策を講じるのも視覚障害者らには有効な手段と思われるものの、聴覚障害のある人への配慮はどうなるのか。

加速減速停止などの操作が手動運転に切り替わるのでは完全な自動運転車とは呼べない。実証試験中とはいえ安全面での課題が改めて浮き彫りになったことは、五輪大会を通じて先進技術のお披露目どころか、自動運転の未来に暗い影を落としかねないことのほうが痛手だろう。

2021年8月31日付

●車8社生産7月2.6%減、世界195万台(読売・9面)

●最後の「NSX」2794万円で発売、ホンダ、来年7月(読売・9面)

●日産と三菱自、軽EVを来年発売(朝日・9面)

●選手村の自動運転車再開へ(朝日・29面)

●緊急事態再延長の公算、指標見直し憶測避け先送り(産経・3面)

●移動にバイク需要拡大、ヤマハ発動機の日高祥博社長(東京・7面)

●デルタ型猛威の東南ア、トヨタも逆らえず(日経・2面)

●いすゞ、社債発行へ、300億円(日経・15面)