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【トヨタ アクア 新旧比較】デザイン、サイズ、乗り心地はどう進化したか?
2021年7月に、コンパクトなハイブリッド専用車の『アクア』が新型になった。先代(初代)アクアは2011年に発売され、2013年から2015年まで、小型/普通車の販売1位になっている。それだけに先代アクアは保有台数も豊富で、新型への乗り替えを考えているユーザーも多いだろう。そこで新型アクアと旧型を比べたい。
◆居住性はアップ、ただ後席には閉塞感も
ボディサイズは同等だが、新型ではホイールベース(前輪と後輪の間隔)が50mm伸びた。そのために4輪がボディの四隅に配置され、視覚的な安定感を強めている。
その半面、新型アクアはサイドウインドーの下端を後ろに向けて大きく持ち上げたから、先代型に比べて斜め後方の視界が悪い。新型に乗り替える時は、車庫入れや縦列駐車を行って、後方視界に不満がないかを確認したい。
内装の質は新型になって向上した。正確には先代型の造りが悪かった。先代アクアの発売は2011年で、リーマンショックによる世界的な不況の影響を受けたからだ。2010~2012年に発売されたコンパクトカーは、最終型の『ヴィッツ』(2010年発売)、先代『パッソ』(2010年)、現行『マーチ』(2010年)、現行『ミラージュ』(2012年)など、登場時点ではいずれも質感が低かった。先代アクアもそこに含まれた。
そして新型アクアは、『ヤリス』よりも少し上級の位置付けだから、質感には一層の配慮が見られる。特にインパネ周辺の造りは、大幅に良くなった。
新型では居住性も向上している。ホイールベースが50mm拡大されて2600mmに達したからだ。身長170cmの大人4名が乗車した時、先代アクアの後席に座る乗員の膝先空間は、握りコブシ1つ半だったが、新型は2つ分に拡大した。着座姿勢も変わり、4名乗車時を快適に行える。
しかし前述の通り、新型アクアの後席はサイドウインドーの面積が狭い。小柄な乗員が座ると、先代型に比べて閉鎖感が伴うので注意したい。
◆燃費性能はさらに向上、乗り心地も快適に
動力性能は先代型と同程度だが、遮音性能は新型になって向上した。先代型も後期型は、改良を重ねて発売当初よりは静かになったが、新型の静粛性はこれを上まわる。
WLTCモード燃費も、ハイブリッドシステムの刷新で大幅に向上した。先代型は2WDのみの設定で27.2~29.8km/リットルだったが、新型は33.6~35.8km/リットルだ。売れ筋グレードの場合、新型の燃料代は、数値上では先代型に比べて15~20%節約できる。
走行安定性も向上した。ステアリングホイールを回し始めた時の曖昧さが払拭され、新型は正確に反応する。カーブを曲がったり車線を変える時は、後輪の接地性が高まって安心感が伴う。
この変化はボディ剛性の向上と足まわりの熟成によって得られたので、新型では乗り心地も向上した。40km/h以下では硬めに感じるが、先代型に比べると粗さが薄れて快適になっている。
◆値上げでもお買い得度を高めた新型アクア
メカニズムでは安全装備に注目したい。衝突被害軽減ブレーキは、車両と歩行者に加えて自転車の検知も可能だ。自車が右左折する時も、直進してくる車両や横断歩道上の歩行者を検知できる。
このほか車間距離を自動制御できる全車速追従型レーダークルーズコントロール、車線の中央を走りやすいように操舵支援を行うレーントレーシングアシストなども全車に標準装着され、安全性と快適性を進化させた。
新型で最も買い得なグレードは最上級の「Z」だ。価格は240万円だが、「G」に比べると17万円の価格上昇で、バイビームLEDヘッドランプ、アルミホイール、サイズアップされた10.5インチディスプレイオーディオなど、22万円相当の実用装備を加えている。
先代アクアで最上級のGは、213万円弱だったので、新型のZは約27万円高い。それでも10年ぶりのフルモデルチェンジとあって、内装の造り、4名乗車時の居住性、静粛性、走行安定性、乗り心地、安全装備、燃費など、多岐にわたる進化を遂げた。新型アクアは値上げされたが、それ以上に買い得度を強めている。