注目の自動車ニュース
ブガッティ シロン「スーパースポーツ」、440km/hの最高速テスト開始…目標は世界最速の量産車
ブガッティは6月22日、現在開発の最終段階にある『シロンスーパースポーツ』(Bugatti Chiron Super Sport)に関して、440km/hの最高速領域での走行テストを開始した、と発表した。目標は世界最速の量産スポーツカーという。
◆テスト車両には約100個のセンサーを装着
走行テストでは、リアウィングの角度、車高、ダンパーの減衰力、電動パワーステアリングなどの設定を変更して、そのデータを比較する。このテストは、440km/hの最高速領域で行われ、6名のエンジニアがセットアップについて話し合う。
テスト車両には約100個のセンサーが装着されており、テスト中に温度や圧力など、さまざまなデータを記録する。これは、強力なエンジン出力と世界最高レベルの速度により、さまざまな圧力レベルに応じて熱力学などが変化することへの対応で、すべての部品を最高速とあらゆる負荷のかかる状態でモニターし、必要に応じて最適化するという。
ブガッティは、シロンスーパースポーツのために、空力特性を最適化した新しい車両デザインを開発した。シロンスーパースポーツでは、リアのオーバーハングがおよそ250mm延長された。この「ロングテール」デザインにより、空気の層流がより長く車体の上を通ることを可能にしているという。ディフューザーも新デザインとなり、風の抵抗が減少。これらの変更により、リアのプロポーションは従来よりもワイド&ローになった。
また、フロントのリップスポイラーからリアのディフューザーまで、そのすべてが最高速のために新設計された。420km/hを超える速度域では、車両は最小限の抗力で充分なダウンフォースを得る必要があるという。シロンスーパースポーツでは、最高速領域でのニュートラルなセットアップと、可能な限り流線型のフォルムにすることを目標に掲げた。
フロントのデザインも変更された。エアインテークの横にサイドエアカーテンを追加することなどにより、フロントからホイールアーチへのエアフローが改善されているという。各フェンダーには9個のエアダクトが設けられた。これは、かつての『EB110スーパースポーツ』を連想させるだけでなく、前輪付近の空気の流れを最適化し、フロントアクスルにより多くのダウンフォースを発生させる。フロントホイールアーチの後ろにも、エアダクトが追加されている。
◆0-400km/h加速は通常のシロンよりも4秒短縮
エアロダイナミクスの面から新設計されたボディに加えて、ブガッティは8.0リットルW16+4ターボエンジンをチューニングし、その最大出力を100ps引き上げて1600psとした。ターボチャージャー、オイルポンプ、バルブトレイン付きのピストン、トランスミッション、クラッチに変更が加えられた。
これにより、エンジンの許容回転数は300rpm引き上げられ、最大7100rpm に。163kgmの最大トルクは、従来の6000rpmではなく、2000~7000 rpmの幅広い領域で発生し続ける特性とした。同時に、車両重量は23kg軽量化されている。
より効率的なコンプレッサーホイールを備えた大型ターボチャージャーの効果で、7速デュアルクラッチトランスミッションは、フルスロットル状態で6速から7速に403km/hでシフトアップする。0~100km/h加速は2.4秒。0~200km/h加速は通常のシロンより0.3秒短縮されて5.8秒、0~300km/h加速は1秒短縮されて12.1秒。0~400km/h加速は通常のシロンよりも4秒速く、28.6秒で到達する。
◆テストでは4つのターボの出力を負荷に合わせて調整
また、ブースト圧は最大近くに維持される。シフトアップの際、ブースト圧は0.3 秒間低下するだけで、その後2.8バールのフルブースト圧に戻る。6000rpmを超えても加速は衰えず、最大7100rpmまで強力な加速が持続するという。
今回のテストでは、4つのターボチャージャーの出力を負荷に合わせて調整している。7100rpmでシフトアップする時に、ドライバーがトラクションの中断に気付かないよう、ブースト圧を調整しているという。
ブガッティでシャシー開発を統括するJachin Schwalbe氏は、「380km/hでのテストに成功した後、現在、最高440km/hで走行テストを行い、ハンドリングを改良している。この信じられないほどの最高速でも、妥協のない安全性を発揮できるようにしていく」と語る。
なお、シロンスーパースポーツのベース価格は、320万ユーロ(税抜き)。ブガッティは、シロンの総生産台数500台に含まれており、2021年8月末から納車を開始する予定、としている。