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【VW ゴルフ 新型】VGJの4番バッター…商品企画担当[インタビュー]

  • 《写真撮影 中野英幸》
  • 《写真撮影 中野英幸》
  • 《写真撮影 中野英幸》
  • 《写真撮影 内田俊一》
  • 《写真撮影 中野英幸》
  • 《写真撮影 内田俊一》
  • 《写真提供 VGJ》
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  • 《写真提供 VGJ》
  • 《写真提供 VGJ》
  • 《写真撮影 高木啓》
  • 《写真撮影 中野英幸》
  • 《写真撮影 高木啓》
  • 《写真撮影 高木啓》
  • 《写真撮影 中野英幸》
  • 《写真撮影 内田俊一》
  • 《写真撮影 内田俊一》
  • 《写真撮影 中野英幸》
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  • 《写真撮影 内田俊一》
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フォルクスワーゲングループジャパン(以下VGJ)は8世代目の『ゴルフ』を発売した。同社の中心的存在でもある新型ゴルフの特徴やターゲットユーザーなどについて、商品企画担当に話を聞いた。

◆マイルドハイブリッドが欲しかった

—-:率直に伺うのですが、8世代目となったこのゴルフの最大の特徴は何でしょう。

フォルクスワーゲングループジャパン営業本部商品企画課プロダクトマネージャーの沢村武史さん(以下敬称略):どれがというのはなかなか難しいのですが、電動化、デジタル化、自動運転支援の強化、この3つの軸があり、それぞれに力点を置いてプランニングしたのは事実です。

その中で個人的に特にこだわったのは、日本仕様としての設定でマイルドハイブリッドを両方のエンジンで持ってきたことです。これは日本のマーケットにおいて、ベストだと思う選択をしたつもりです。

—-:日本側から8世代目ゴルフの開発に対して何か要望を出したことはありますか。

沢村:要望らしい要望は正直そんなに出してはいません。ただしひとつ反省がありました。先代の改良時点でエンジンを1.2リットルと1.4リットルにしましたが、本国は既に1リットルと1.5リットルのTSI EVOが導入されており、日本にそのエンジンが取れなかったのです。これはメディアの方々から最新のエンジンをなぜ日本に導入出来ないのかと、結構お叱りを頂きました。

それがありましたので最初のプランニングの段階から、このエンジンのマイルドハイブリッドがあるのであれば、絶対に日本に設定するように、これは相当交渉しましたし、一番こだわったところです。

後は、メニューとしてはLEDマトリックスなどを含めた先進装備は全部日本にも選択肢としてありましたので、取れる限りのものは全部取ったことで、本国仕様と遜色のないものになりました。その中で取れないかったのは交通標識の認識機能を使った地図とACCの連携機能は入れられませんでした。これはドイツと日本の高速道路事情の違いなどがあり、そこまで日本で有効な装備にはならならないかもしれないという予測もありました。

ただし今後、自動運転レベルが3や4になった時には必要になって来ます。この機能は、例えばカーブを曲がるときでも速度標識の認識だけではなく、地図で事前にこの先にこの曲率のカーブがあるので事前にスピード落とすなどまで含める予測式のACCなのです。そうすると交通標識の認識機能は絶対に必要になりますから、今後、レベル3や4が本当に一般化するとしたら、日本仕様としても開発していかないと遅れるとは考えています。

◆思考で別れるユーザー層

—-:新型ゴルフのユーザーはこれまでと同じとお考えですか。

沢村:例えばここを具体的に狙っていきましょうという考えをするときには、我々のやり方は、前のユーザーを分析して、そのユーザーが今回もはまるかという見方をします。

先代ゴルフのユーザーは、イメージとしてですが、50代半ばぐらいのお客様が上のハイラインを購入し、それよりももう少し若い、多分40後半から50前半ぐらいの方がコンフォートラインを買っているような、ある程度の棲み分けが出来ていました。また、ゴルフ自体の女性の比率も、他のVWに比べると『ポロ』ほどではないですが割と高い方です。ポロでは半数近くの女性比率になりますが、ゴルフでは3割くらい。それが『パサート』になると9割ぐらいが男性になります。

—-:では、1リットルと1.5リットルとでは、どのようにユーザーは違うと想定されていますか。

沢村:多分デモグラ的にこういう人だったらこっちを買うみたいなのことでは、意外と分かれないかもしれません。どちらかというと思考で分かれそうだと思います。

街乗り中心の方は1リットルで、高速中心は1.5リットルというのはこれまでとそれほど変わらないと思うのですが、よりその傾向が強く分かれるかもしれません。ただ難しいのは、先代は、そのグレードによって選べるオプションが違ったのですが、新型の導入で、大きくこだわったポイントとして、先ほどお話したマイルドハイブリッド以外に、1リットルのアクティブという量販グレードでも、“テクノロジーパッケージ”を設定している点です。

これまでの考えでは、テクノロジーパッケージに含まれるヘッドアップディスプレイや、LEDマトリクスヘッドライトなどは上級グレードにとっておこうという発想がありました。しかし今回はゴルフの電動化やデジタル化がどのグレードでも均等に味わえるということを考えて、主に先進装備系では下のグレードからちゃんと装備できるようにしよう、どのグレードを買っていただいたお客様にも、しっかり体感していただけるようにしようというこだわりがあったのです。

従って、いままでであれば頑張って上級のハイラインを買おうと思ってたお客様も、今回はアクティブのフルオプションでも十分ご満足いただける内容になってると思うのです。その意味で思考という、より上質な内装だったり、R-Lineのスポーティさだったり、あるいは高速をよく走るとか、人をしょっちゅう乗せるとか、そういう考え方に応じて選んでいただくような感じになってくるでしょう。

◆ゴルフは看板モデル

—-:いまどのくらい予約が入っているのでしょう。

沢村:まだ展示車や試乗車もない段階で、予約は5月末で2500台ぐらいです。

—-:SUV系が充実してきているVGJですが、そうなるとゴルフの立ち位置って変わってきますか。

沢村:変わらないですね。4番バッターです。

—-:SUV系がここまで頑張っていてもやはりゴルフは強いのですね。

沢村:はい、看板です。いままで7世代にわたって販売してきた歴史と実績があり、それなりの顧客の母体も大きいので、そこである程度は成り立っていくでしょう。また、ファンもたくさんいますので、ゴルフだから買ってくださる方も多いと思います。

—-:しかし年齢層は上がりつつあるようですね。

沢村:はい。

—-:そうすると若返りの対策も考えていく必要があるようにも思います。

沢村:確かにそうなのですが、意図的に若い人を取り込むためにこういうようにしたという意識はあまりありません。コンパクトなクルマなので、どうしてもカップルや独身の方々が多くなる傾向にはあります。それで購買力のある方というと、カップルであれば年齢層は高めになりますし、逆にファミリーが買うクルマとしてはミニバンなどが日本だと多いので、我々では『シャラン』や『トゥーラン』があります。面白いことに1番平均年齢が若いクルマはそれらのクルマなのです。

このようにゴルフは、クルマの性格上どうしても年齢層が高くなるのは避けられないところがあると思うのです。ただし色々な人に乗ってもらいたいとは考えています。

—-:そういったことなどを踏まえると、ゴルフはVGJのセンターで、ここを中心にポロがいたり『ティグアン』がいたりするわけですね。ここがぶれると全部がぶれてしまうと。

沢村:そういうことになります。